下の階に降りると血がついたナイフが転がっていた
脚しか見えないけど桂さんが倒れているようだ
もいいい・・・もういい
もうしらない、おとうさんなんかいらない
じゃまするやつなんかいらない
おねえちゃんとおおきなおいけのちかくまであるいた
おててをつないで
ふたりであるいた
おつきさまがぼくとおねえちゃんのあるくみちをてらしてくれている
「みずきくん、すわろ?」
「うん、おねえちゃん」
おおきなおいけ
つきのひかりできらきらひかってる
「おねえちゃん、だいすき♪」
「うん、わたしもだいすきだよ♪」
だきあってちゅーした
いいよ、もう
おねえちゃんとならどこにだっていくよ
そのまま、えっちした
おねえちゃんがぼくのうえにのって
なんどもなんどもぼくは・・・
おねえちゃんがおなかをさする
「おなか、いっぱい・・・」
「おねえちゃん・・・」
「いこ?もう、ふたりきりだよ、じゃまされないよ?おねえちゃんは、ずっとそばにいるよ」
「うん、すきすきっ・・ぼくもはなさないから」
てをつないでつめたいみずのなかへ、あるいてく
いっぽあるくたび
おねえちゃんとみつめあう
すごくすごききれいなおねえちゃん
めがみさまみたい
みずがかおがふれそう
おねえちゃんがだきついてきた
ぼくもだきしめる
「ずっといっしょ」
「うん、ずっといっしょ」
くちびるを・・・かさねて
ぼくとおねえちゃんはみずのなかへ
つめたいみずのなか
でも・・・
あったかい・・
おねえちゃんがいるから
あったかい・・・
ふたりでおちていく
どこまでも・・・・
瑞希くん?
なぁに?姉さん?
ふたりで幸せになろうね
うん、もちろん
姉さん・・・・姉さん
僕はね、やっぱりしねないよ
だってまだまだだもん
二人で生きるには
まだまだ時間が残ってる
「ぷはぁ!」
「ん・・・ぁ」
姉さんの服をつかんで泳ぐ
こんなに泳げたっけ、僕
もうすこしで・・・もうすこし・・・力尽きそう
でも泳ぐ
僕は姉さんと生きるんだ
だから泳ぐ
絶対にはなさない
「瑞希!彩花!」
桂さんが岸辺のほうで叫んでいる
こっちにむかって泳いでくる
抱き締められてかかえあげられた
姉さんもぼーっとしてるけど意識はあるみたい
二人で生きるんだ
まだ諦めない・・・
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