ほとんど記憶があいまいだ
なんでこういう事になったんだろ・・・・
なんで?なんで姉さんがいないの?
なんで?
桂さんに連れられてやってきた
リゾート地のきれいな池の近くにあるコテージ
「さぁ・・入って」
桂さんが暖炉の牧に火をつけた
淡い炎が灯る
「・・・・すまない」
「おとうさん?」
「瑞希・・・すまない」
「おとうさん・・・なの?」
桂さんは静かに頷いた
僕は急に恋しくなって桂さんに抱きついた
「み、瑞希?」
「おとうさん・・・」
「瑞希・・・瑞希・・・」
「おとうさん・・・会いたかった」
落ち着くまですごく時間がかかった
桂さんがホットミルクをいれてくれた
「落ち着いたか?」
「はい・・」
「彩花と・・・離れる覚悟、しなさい」
「嫌です・・」
「このままじゃ、悪い方向に向かうぞ?いい関係にはならない」
「それは貴方もしたんでしょ。おとうさん?」
桂さんは黙りこんだ
不倫して生まれた子供
それが僕と姉さん
「・・・親の資格はない、だが・・もう溺れている君たちを見ていられない」
「・・・僕は姉さんと一緒に生きていきたいんです」
「・・まわりに知られたら生きてはいけないぞ?」
「なら・・・死・・にます」
バチンと桂さんにひっぱたかれた
でも僕はにらみ返す
「姉さんといつまでも一緒にいたいんです!」
「頭を冷やすんだ!バカな事を言うな!」
桂さんが部屋を出ていった
鍵を閉められた
監禁された?
もう・・・姉さんと一緒にいられない?
そんなのやだ!やだやだ!
いやだ!姉さんと一緒がいい!いやだ!
数日間、部屋から出してもらえず
トイレと食事はさせてもらえたけど
もう生きる気力がわかない
母さんといた頃よりもっとひどい
父さんと会えたのはよかったけど
姉さんを失うのは嫌だ・・・
夜・・窓から外を見た
真っ暗な森の向こうに月の光を浴びて輝いている湖
なんてきれいなんだろう・・・
コツンと窓ガラスに小石が当たって
下を見た
姉さん・・・・
会いたかった人がいる
窓ガラスを開ける事はできない
どうしてここにいる事が分かったんだろう・・・
姉さんは玄関のほうに歩いていった
チラッと光るものがあった
下の階で物音がしてしばらくして・・・
扉が開いた
姉さんが肩で息をしている
「瑞希くんっ!」
「姉さん!」
抱き合ってキスをした
この温もりが欲しかった
泣きながら見つめあう
「瑞希くん・・・二人で死のう?もう邪魔されない場所に行こう?」
僕は・・ためらわず、頷いた
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