近くの民家
といっても広大すぎてすごく距離があるけれど
目撃情報を調べてみていい撮影ポイントを見つけたようだ
明朝に必ず雪原にある大きな木に止まるそうだ
姉さんは交渉して小さな木の小屋を借りた
薪ストーブとランプ
古い家具などがある
遠慮なく使ってほしいとの事だった
やはり姉さんの名を聞くと渋い顔をする人はいない
夕方
僕は薪ストーブの近くで暖をとる
暇潰しのものを持ってきたけど
薪ストーブの火を眺めていれば時間を忘れる
「瑞希くん、、あったかい?」
「うん、、あったかいよ」
姉さんが僕の背後から抱きついてくる
「姉さん・・・」
「ん?」
「やっぱり姉さんと離れたくないや・・・」
「・・・私も、、」
「どうして・・・姉弟じゃダメなのかなぁ」
離れたくなくても
僕は姉さんを辛い目にあわせたくない
報われる未来にいけるように背中を押してあげたい
僕は眠くなって寝てしまった
目が覚めたのは日が登る前
姉さんは望遠レンズのついたカメラを構えている
日の光が出てきた
姉さんは静かにシャッターを押した・・・・
「いやはぁ、、、びゅーちふる!なんていい写真なんだろう!、、、ミーはやっぱりグレイトなカメラウーマンですにゃ、、、」
満足いくものが撮れたらしくてはしゃいでいる
姉さんは咳払いをして僕を手招きする
吹雪は止んで広い雪原に二人だけ
「瑞希くん、すとっぷ!」
「え?」
僕と姉さんの間にはまだ距離がある
姉さんはうつむいた
「・・・・悩んだ・・・たくさん」
「うん・・・」
「・・・瑞希くんも他のいい人と幸せになれる未来があるかもしれないって、私が縛っちゃいけないって」
姉さん、僕とおんなじような事考えてたんだ・・・
「・・・私も西野くんを好きになった、平凡を夢見た」
「うん・・・」
「・・・平凡で幸せな家庭を望んだ」
胸が高鳴る
どういう答えがくるのか怖い
「私はね、瑞希くん」
「うん・・・」
「私は・・・」
やだ、離れたくない
でも、縛り付けちゃダメ・・・ダメだ
姉さんがゆっくりとこちらに向かってくる
僕は固まったまま動けない
姉さんは目を潤ませて僕を抱き締めた
「ごめんね・・瑞希くん」
やっぱり・・・姉さんは
「私は瑞希くんと一緒にいたい!ずっと!」
姉さんが微笑んで
押し倒してきた
新雪の上で抱き締められたまま
「迷ってごめん、、、瑞希くんより好きになれそうな子はきっといないよ、、」
「姉さん、、、好きっ!好き!」
夢ならさめませんように・・
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