男の子のライオンはアールといい名前でした
シグも名前を名乗りました
「シグか、強そうな名前だな」
「そんな事ないよ」
「シグ、空はなぜ青いのか分かるか?」
「・・・・わからないよ」
「俺も分からない、だが時間がたつと暗くなって細かな粒キラキラ光るだろ?俺はそれを見るのが好きだ」
「僕も好きだよ、その細かい粒は星っていうんだよ」
「そうなのか」
「おとうさんが教えてくれた」
「俺にも星の事を教えてくれないか?」
アールは尻尾を嬉しそうに振っています
日がくれて、夜になってもアールはシグのそばを離れませんでした
「流れ星というものがあるのか」
「そう、お空を見て」
「ん?」
アールとシグが夜空を見上げると
キラッと線を引いて流れていく星が見えました
「あれが流れ星だよ」
「・・・・おもしろい事を知っているのだな、シグ」
シグは気になっていた事をアールに聞きました
「アール、ライオンたちはどうして僕たちを襲うの?」
「それは食べるためだ、生きるため」
「どうして?ライオンたちは草は食べないの?」
「食べないんじゃない、食べられないんだ」
「どうして?」
「そういう定めだからだ」
アールとシグはずっと夜空を見上げながら
お互いの事を話ました
ライオンは若い女の子たちに囲まれて狩りをしてもらい、狩ってきた獲物を運んでもらい食べる
そして子供をたくさん作る
「アールは幸せだね」
「幸せなものか」
「どうして?」
「シグには分からないよ」
「僕はライオンたちに怯えながら生きているんだ、アールは百獣の王なんでしょ?怖いものなんかないよね」
「俺が怖いものはシグにはわからない」
「どうして?話してよ?」
「話して分かるような事じゃない」
夜があけてもアールはまだそばにいました
アールは鼻をひくひくくんくんさせました
「・・・俺は帰る、今度会ったら命はないと思え」
「僕、アールと話した事、ずっと忘れないよ!」
「・・・・流れ星、また見たいものだ」
アールはゆっくりと歩いて去っていきました
しばらくして、シマウマの群れがこちらにやってきました
おとうさん、おかあさんが駆けよってきて
生きててよかった、よかったと涙を流しました
シグはアールとの事を群れの仲間に話しました
でも誰も信じてくれませんでした
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