気がつくと彩花さんの手を引っ張っていた
「み、瑞希くん?」
「ころされちゃう!はやく!」
とにかく走った
無我夢中で走って人気のない工場の近くについた
「はぁ・・・ふぅ」
「彩花さん、平気?」
「き、きみ・・・いがいに・・・たいりょく・・あるね」
「はい・・・ここまで来れば大丈夫かな」
僕は近くの壁に寄りかかった
「母さんは・・・おかしいんだ」
「・・・・・だろうね」
「でもね?僕を愛しているから心配もするし束縛もするんだ」
「・・・そんなの愛情じゃないよ」
彩花さんは僕の肩をグッと掴んだ
「・・・逃げるべき、あの女のそばから・・・」
「みーずーきーくーん?」
後ろから声がした
振り返ると母さんがいた
「え・・・?」
「なんで逃げるのぉ?」
「ご、ごめんなさい!母さん!」
「そこの女はだぁれぇえええ!???」
彩花さんは僕の前に立った
月明かりが彩花さんの顔にかかる
綺麗に光る黒髪
美しい顔だち
誰かに似てる気がしてた
「久しぶり、お母さん」
彩花さん・・・・!?
「・・・・・どうしてあんたがここにいるの?」
「大事な弟を迎えにきたの」
状況がよくわからない
僕の・・・・なに?
「お母さん、あんたやっぱりおかしいよ」
「うるさい!だまれ!お前はあの男と地獄に落ちろ」
「お断り」
サイレンの音が聞こえた
警察?
「私、有名人なんだ?お母さん、ちょっとは褒めてよ?」
「うるさいしねぇええ!!」
母さんがナイフをとりだした
彩花さんは回し蹴りをはなった
母さんは倒れた
警官がかけつけて彩花さんが婦警さんに事情を説明している
なにがなんだか分からない
警察で色々と事情を聞かれた
僕は母さんにされた事を話した
話を聞いていた人、全員の顔がひきつっていた
母さんは強制入院の必要がある、保護者として不適切だと・・・・
僕はどうしたらいいんだろうか
警察署の待合室に案内された
彩花さんが僕を見て微笑んだ
「平気?」
「・・・・あなたは誰なの?」
「落ち着いて話を聞けそう?」
「うん・・・」
僕は彩花さんの隣に座った
「あのね・・・私と君は姉弟なんだ、父親は違うけども・・・血のつながった姉弟」
「・・・父親が違う?」
彩花さんは唇をすこし噛んだ
「・・・君はね」
「はい・・・」
「君は・・」
「はっきり言ってください」
「君は・・・不倫相手との間に産まれた子なの」
「・・・・そうなんですか」
母さんが言ってた
あの人・・・って
そうか、お父さんじゃない人の事だったのか
どっちにしろ・・・僕は知らない
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