授業中、西野さんにもらった名刺を眺めながら考えている
モデルかぁ
僕が?
まさか、笑っちゃうよ
でも・・・モデルかぁ
モデルになるとモテるかも
・・・・・あー!勉強しよう!授業聞け!僕!
お昼、いつものように村田先生と昼食
なんだろうか
この人と食べるのが完全に習慣化している
「あの、村田先生」
「ん?」
「モデル経験あります?」
「なに、いきなり?」
「いや、村田先生すごく美人だから・・・」
「誉めてもなにもあげないよ?」
頭を撫でられた
ないのかなぁ・・・
「あるよ、何度か」
「ぇ?あるんですか?」
「19の時に読者モデルってやつ?したことある」
村田先生の若い頃ってどんだけかわいかったんだろう
「もう、七年前になるのかぁ・・・はやいはやい」
「村田先生・・・26歳?」
「んー?知らなかったのー?」
「はい・・・」
「へぇ?私の弟子失格だよ」
なんだよ、やっぱり弟子扱いなのか
学校が終わって
近くのお墓に向かう
母さんのお墓
まだしんだって実感がない
ひょっこりどこかで会えるんじゃないかって思ってしまう
母さんの墓石の前に見覚えのある人が・・・
「あれ?桂さん?」
「・・・やぁ」
「どうしたんですか?」
「いや、彩花の親御さんだしな、一応・・・」
桂さんは花を供えて線香に火をつけた
「・・・安らかに」
「桂さん、ありがとうございます」
「・・・いや、お礼なんかいいんだ、一緒に手をあわせよう」
「はいっ・・」
母さんは・・・僕をどう思ってたんだろうか
今となっては知る術はない
「・・・瑞希くん、心の傷は癒えるのにすごく時間がかかるんだ」
「・・なんとなく分かります」
「彩花と一緒に暮らしていて幸せか?」
「はい、とっても!」
「そうか・・・あいつといれば癒えるだろう」
桂さんはすこし微笑んだ
なんだろうか
この人は世に背を向けて生きているような
いや、誰にも向き合わずに生きているようなかんじだ
一人ぼっちなのかな・・・
「桂さん!」
「ん?」
「僕とお茶しませんか?」
「・・・デートのお誘いか?」
「ぼ、僕は男ですよ?、、」
「・・・かわいい子に誘われたならお受けするしかあるまいな」
頭を撫でられた
僕、なんだかよく頭を撫でられる
あれかな・・・僕は犬っぽいのかな?
そんなに素直なつもりはないんだけど
近くの喫茶店でコーヒーを飲んだ
「電話だ、失礼」
桂さんが電話に出た
なんどか静かに頷いて
「瑞希くん、ごちそうさま、たのしかったよ」
お店から出ていった
・・・忙しいんだなぁ
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