久しぶりに母さんに会うことにした
面会室で待つ僕
時計の秒針の音しか聞こえない
なんだろうこの緊張感は
姉さんには内緒で来た
母さんが面会室に入ってきた
だいぶ痩せてしまったようだ
「瑞希・・・」
「母さん・・」
なんだかすごく弱々しくなってしまった母さん
僕のせいだ・・・
面会室には立ち会いの人がいる、僕は我慢できなくたった
「あの、そっちに行きたいんですけど」
「よろしいのですか?」
「お願いします・・・」
僕が母さんの方に入ると
母さんの目に光が灯った
「瑞希、おいで」
「母さん・・」
抱きついた
ぎゅーっと抱きついた
「瑞希・・・私のかわいい瑞希」
「母さん、痩せたね」
「ふふ、若く見える?・・・わけないか」
「母さん・・・ごめんね」
「ううん、私がいけないのよ・・・私が」
母さん、なんだか変わった
僕はすぐに決意してしまった
また母さんと暮らしたいと
きっと良い方向に向かうはずだ
姉さんに相談しなきゃ
帰宅してすぐ姉さんに相談してみた
姉さんは首を横に振るばかり
「ダメだよ、瑞希くん」
「なんで?母さんは変わったよ」
「変わってない、絶対に変わらない」
「姉さんは・・・母さんと離れていたから分からないんだよ」
「瑞希くん・・・」
「僕は母さんと暮らしたい、そうしたいんだよ!」
姉さんはうつむいて
「わかった、瑞希くんの好きにしたらいい」
姉さんは僕に背を向けた
「私が一番大事な事は写真を取る事だから・・・一番好きな事はそれ」
「姉さん・・・?」
「瑞希くん、短い間だったけど二人で暮らした事、忘れない・・・さようなら」
もっと激しく止めるかと思ったけど
僕は部屋を出た
姉さんとの恋も終わっちゃったのかな
あんなに強く好き合ったのに・・・
母さんが家に戻ってきた
「瑞希、ただいま」
「おかえり!母さん!」
「あらあら、綺麗に掃除してくれたのね」
頭を撫でられた
それだけ
いつもなら押し倒されてやらしい事される
やっぱり母さんは変わったんだ
普通に戻ったんだ!
よかった・・・これでよかったんだ
「母さん、夕飯なにがいい?母さんの好きな物つくるよ?」
「なんでもいいわ」
「え?母さん?・・・・あ、きんぴら牛蒡が好きだったよね?今作るから!」
「そう、よろしくね」
母さんの好物
おいしく作ろう
きっと喜んでくれる
夜になって
僕は久しぶりに自分の部屋で寝た
母さんは毎夜僕を襲いにきた
けど、今日は来なかった
普通になってくれたんだ、きっと
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