「ギャラだ、たーんと食いたまえ」
「僕、味噌バターラーメンで」
「じゃ、あたしは・・・とんこつ醤油!」
ラーメン屋につれてこられた
なんだかこの人に気に入られちゃったみたいだ
外食なんて久しぶりだなぁ
ずっと夕飯は母さんと食べていたから
パシャとまた写真をとられた
「いひひ、かわいいねぇ」
「ごちそうさま、さようなら」
「ご、ごめんって!」
早く帰らないと母さんに心配される
もっとやらしい事されちゃう
そんなの気持ちわるい
ラーメンを食べ終えて箸を置いた
「とぅいったーしてるから見てね!あとこれ!メアドと電話番号ぅ」
「いりません」
「お願いだから・・・すぱっと言うのやめて」
僕は渋々受け取った
帰り道
まだこの人はついてくる
「いやぁ、懐かしい」
「知ってるんですか?この町?」
「のーこめんとっ!」
「知ってるんですね、前に住んでた事あるんですか?」
「・・・う、ううん、住んでないよ」
顔に出やすいタイプの人かなぁ
家の前まで送ってもらった
彩花さんはなんだかまた切なそうな顔をした
「ラーメンごちそうさまでした、じゃあ、さようなら」
「君は・・さ」
「はい?」
さっきと違って真剣な表情
まっすぐな瞳で僕を見つめる
「君は、今幸せ?」
「はい?・・・貴方には関係ありません」
「聞かせて」
「・・・・幸せですよ」
嘘・・・
でも母さんは愛をくれてる
だから僕は幸せなはじ
「さようなら」
ドアをしめて鍵をかけた
母さんはさっき会社に行く予定ができたって言ったから・・・・帰るまでに夕飯の準備をしなきゃ
僕は包丁で野菜を切る
なんだか手が震える
さっきもらった名刺を見る
破り捨ててしまおう
それがいい
でも・・・できない
よくわからないけど
はじめて会う人なのに
なぜか・・・
「ただいま、瑞希」
「おかえり、母さん」
なるべく笑顔で出迎える
そうしないと不機嫌になって夜中までなめまわされる
「瑞希・・・」
「ん?なぁに?」
「他の女のにおいがするわ、どういう事?」
「え、あ・・・えと」
「説明しなさい、わかるように」
「あ、あの・・・すれ違うときにぶつかったのかな」
「あぁ、そうなのね・・・・私のかわいい瑞希を汚す輩は消さないと」
やっぱり
おかしいよ
この母親は
でも僕は
笑って返事をするしないんだ
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