姉さんの写真展に来た
もちろん内緒で
姉さんおどろくかなぁ
有名な百貨店の8階ホールをまるまる貸しきってやるなんてすごいや
チケットを持って受け付けに向かう
「あれ・・・あれ?」
姉さんがキョトンとして僕を見ている
スーツを着て髪はくるくるカールしたポニーテールにしてある
やっぱり綺麗
「ち、ちょっと失礼します」
係員の人にそう言って僕のところに来た
「瑞希くん、来てくれたんだ!」
「来ないと思ってたの?」
「ご、ごめんよ、、なんか恥ずかしいなぁ」
姉さんがもじもじしだした
「姉さん、スーツ着てるんだからビシッと決めようね」
「う、うむ」
写真を見てまわる
色々あるんだなぁ
一番最初に評価された写真・・・か
再生ってタイトルだ
雪原の枯れ木に太陽の光があたってキラキラ輝いている
すごく綺麗だ
「お、瑞希くん」
「村田先生?」
「おねーさんの付き添いかい?」
「ま、まぁそんなとこです」
村田先生の私服は初めて見た
姉さんと違ってきりっとした顔つきの美人
なんてゆーか、下品な例えだけど・・・姉さんはドMっぽい雰囲気で村田先生はドSっぽい
「私服もかわいいね」
「それ、僕が言う台詞じゃ・・・」
「言わずともよい」
頭を撫でられた
なんだかなぁ
村田先生と写真を見てまわる
なんか一つ一つ印象に残る写真ばかりだ
素人の僕でもすごいって思う写真ばかり
僕はひとつの写真に目がとまって
立ち止まった
ベビーベットから手を伸ばしている赤ん坊と微笑んで近寄る母親を横から撮った写真
題名は・・・母と子
「・・・ふーん?この写真好き?」
「なんだか・・・見入っちゃいます」
微笑ましい写真のはず
けどなにか違和感が
「その写真はね、赤ん坊と母親のすれ違いを表現したの」
姉さんが後ろにたっていた
見入って気づかなかった
「瑞希くん、おまたせ」
「姉さん、もういいの?」
「お偉方との挨拶はすませたから」
姉さんは村田先生に微笑みかけて一礼した
「瑞希の姉です、お世話になってます」
「あ、瑞希くんの学校の教員の村田です、よろしく」
姉さんは村田先生と握手した後僕をぐいっと引き寄せた
ん?なんで?
「母親は赤ん坊が愛情を欲していると思って近寄っている、けど赤ん坊は母親の後ろにあるおもちゃと窓の外を見たがっている・・・写真を撮ったあと外に出たがってぐずってたからたぶんそう」
「・・・姉さんの思い込みじゃ?」
「だとしても、私はそう思ったから撮ったの」
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