テスト当日
急に教頭先生は転任でいなくなった
あーあ、村田先生・・・
ま、セクハラはいけないし自業自得だね
テストはまぁまぁ順調
暗記して書くだけだし
テストなんて頭の良さには特に関係ないような気もする
こんなもので人を評価しちゃうなんて変なの
テストの点数が悪いけど口と頭の回転がすごくいい子もいるし
ああゆうこは頭いいなって思う
無事、テストが終わった
午前中で下校になった
午後からは部活する生徒だけが残る
僕は暇だしなにしてようかなぁ
母さんに会いに行くかな
でも正直怖い・・・
離れてようやくあの人が異常だって分かってきた
でも・・・母親なんだよな
僕を生んでくれた人
ま・・・家に帰ってゆっくりしてようかな
廊下で村田先生にばったり出会ってしまった
「やぁ」
「先生・・・」
「言わずとも分かるよ、あの件は穏便に済ませた」
村田先生がメガネをくいっとなおしてニコッと笑った
「村田せんせー!」
「きゃー!」
黄色い声援が後ろから聞こえる
はやく帰ろう
「僕、帰ります」
「だめ」
「は?」
「ちょっと気晴らしに付き合いなさい」
「嫌です」
「これは命令」
なんなんだよ
この人強引だなぁ・・・
2、3時間ほど待たされてつれてこられたのは
「バッティングセンター?ですか?」
「ほれほれ、おいで」
「はい・・・」
なんかよく分かんない
気晴らしになるのかな、これ
受け付けをすませてバットを受けとる
村田先生が上着を脱いで蝶ネクタイを緩めた
胸、きれいでおっきい
すごい美人であの胸・・・なんで独身なんだろう
やっぱり性格がキツイからかな
「なに?」
「いえ、なんで独身なのかなぁって」
「結婚はすごく無駄だからね」
ボールが飛んできて振ってみる
当たらない
難しいな
「けどね、無駄な事って大事なんだよ、人生を楽しむにはね」
村田先生がホームランを連発しながらそう言う
常連なんだろうな、この人
「無駄な事は省くべきじゃないんですか?」
「いーや、むしろ増やすべき」
「言ってる事がちんぷんかんぷんなんですが」
「趣味も恋愛も、感情抜きで考えたら無駄でしょ?」
「そうですか?」
「そうだよ、生きるためには人間の三大欲求満たしてればいいんだもの」
またホームラン、すごいなこの人
「恋愛はさ、惚れぬいた人とするべき」
「ん?」
「好きで好きでたまらない人と、するべき・・・」
村田先生はどこか遠くを見つめてなんだか切ない顔をしてそう呟いた
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