人は一部分を見て判断できない
そうなった要因がある
現代の若者は甘えてる、ダメになった
よく聞くセリフだ
だがその世代を育てたのは誰だ?
ダメにならないような環境を作らなかったのは誰だ?
環境に甘えるな?
人間も動物だ、環境に適応する生き物
便利になればまた思考も変わるもの
俺はそう思っている
一人、気がかりになっている部下がいる
「田口くん、ちょっといいかな?」
「はい・・・」
彼は今年、新卒で入社してきた田口優
学歴は申し分ない
仕事もよくやってくれている
だが生気がない・・・
「今夜、飲みに行かないか?君と少し話がしたい」
「はい・・・」
目に生気が無いというか
彼には何か・・・欠けている気がするのだ
「部長、資料できました」
「はいはい、結愛くん、よくできましたね」
「猫撫で声でおほめいただき光栄です」
「・・・・げふん、ありがとう」
結愛はだいぶバイトにもなれてきた
いい社会経験になるだろう
「結愛、俺は今日部下と飲みに行くから先に帰っててくれるか?」
「はい・・・・歩さんちで遊んでるね?」
結愛は小さくウィンクした
(*´∀`*)くはぁ・・・激かわ
退社後
田口君と近くの飲み屋で軽く乾杯した
「仕事、どうだ?」
「はい、楽しくやってますよ」
「そうかそうか」
彼は酒をあまり飲まないようだ
俺はかなりの酒豪だが
「・・・村田部長みたいなお父さんが欲しかったな」
「ん?」
「いえ・・・」
とっかかりが見つかった
少し彼を知りたい
「・・・嫌でなければ君のオヤジさんの事を聞きたい」
田口君は少し間を置いてから話してくれた
彼の父親は大手一流企業の役員
昔から叱られた事もないし勉強の事や学校の事も聞かれた事が無いらしい
会話はほぼ無かった
対して母親は教育熱心で細かい事にまで口うるさく指図してくる母親らしい
どっちの親も嫌で嫌で一流大学を出てうちの会社に就職し、一人暮らしをしているらしい
「まぁ、今自由なんですよ、そのはずなんです・・・でも自由じゃないんです」
田口君は少し息苦しそうな感じでそんなセリフを吐いた
「・・俺は君の人生を全て見たわけじゃないし、見れるわけない・・・今からでも親につけられた鎖をとっていったらどうだ?」
「・・・無理な気がします」
「変わるのは難しいな・・・君は仕事もよくできるし・・何か息抜きを・・」
田口君はため息をついて俺を見た
「・・・部長、ありがとうございます・・」
少し笑ってくれた気がした
俺は少しホッとした
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