ご近所の人との付き合いも大切なんだが
引っ越ししてきた街はややドライなかんじだ
とりあえずうわべだけ仲良くしてウチはウチ、ヨソはヨソ的
だからサバサバした歩もここに住み続けているのだろう
車の調子が良くなく歩に見てもらう事にした
まだ出社には早いが今朝は車に乗らずバスで出勤だ
バス停の近くに公園がある
ボールで遊んでいる親子がいた
歳は俺くらいの男親と若くてきれいな妻、そしてかわいらしい娘
まだ朝7時だというのに・・・
ボールがこっちに転がってきた
俺は道路に出る前にボールを拾った
女の子が無邪気に笑いながら寄ってきた
「おじさんありがとう!」
「いえいえ、はい、ボールどうぞ」
女の子は嬉しそうにボールを受け取った
母親の方にトコトコ走って行った
結愛もああゆう時があったをだよな・・・・
「ありがとうございます」
父親らしき人が一礼して近寄ってきた
「かわいいお子さんですね」
「ええ、ありがとうございます!」
照れ臭そうに男は笑った
「私にも年頃の娘がいるのですが、もうわがままばっかりで・・・」
「おや、そうなんですか?私の娘もいつかそうなるのかな、ははっ!」
昔の俺みたいだ
やっと手に入れた家庭
やっと掴んだ平和
それを噛み締めている
「おとうさんっ」
呼ばれた
俺・・・・じゃないよな?
袖をぐいぐい引っ張られる
振り替えると結愛が弁当箱を持ってニヤニヤしている
「忘れ物だよ?」
「お!すまん!」
「もうすぐバス来る?」
「おぅ、そうだな」
結愛を見て男は察したらしい
「いい娘さんじゃないですか」
「え、えぇ・・でもわがままが・・」
「女の子はそんなもんらしいですよ?お互いがんばりましょう!」
男はまた一礼して家族の元に戻って行った
「・・・・」
あれが普通の家族
「・・・・かっこいいおじさんだったね」
「おぅ?」
「嫉妬した?」
「おぅ、猛烈に」
「ん・・・ボケないの?おとうさんかわいい」
「俺もかっこいいだろ?」
「・・・・もう普通には戻れないよ」
結愛は急にうつむいた
「結愛?」
「でも!私・・・幸せだよ!すっごく!」
顔をあげた結愛はニッコリ笑ってくれていた
まだ普通に戻る猶予はあるかもしれない・・
だが戻っても辛いだけだ
結愛から弁当箱を受け取りバスを待つ
少し待った後、バスが来た
俺はバスに乗って振り返った
結愛に手を振ろうとしたが
彼女はそこにいなかった・・・・
※元投稿はこちら >>