ガガガッ
砂利道を進む軽トラック
俺はハンドルを華麗に切る
「うはっ!じっちゃん、また速くなったね!」
「おうよ!」
軽トラといってもガワだけで中は別物だ
暇と金をつぎ込んだこのモンスター軽トラ・・すげぇ速い
「FFが一番だ!イニシャルCかTか知らんがFRばっかりが速い車じゃないぞ!うははっ!」
(*´∀`*)じっちゃん言うねぇ・・
駆動方式によって特性が違う
FRもいいけどFFも速く走れる
車庫に入れてエンジンを止めた
「また上手くなったな!亮太!」
「俺、天才!」
(*´∀`*)スカッとした!
心拍数下がらないまま玄関の戸を開けた
「こらっ!」
母さんが仁王立ちして俺をにらむ
「ごめん・・」
「もう乗っちゃダメ!」
「う・・」
うわ、じっちゃん逃げたし・・最悪だ
ま、俺が乗りたいって言ったんだからな
その後、じっちゃんは正座させられて怒られていた
母さん・・すごく怖いです
縁側に座っている歩
夜風で髪がなびいている
後ろから抱き締めたくなるがここはぐっとこらえる
「俺の運転見てた?」
「ん?うん・・誉められたことじゃない、安全運転しなきゃダメだよ?」
「わかってるよ・・ははっ」
歩の横に座る
歩はすこし横にずれた
「なぁ、歩は親がいなくて平気なの?」
「ん?へーき」
歩はいつも明るく振る舞っている
寂しくはないのかな・・
「なんでいきなりそんな事言うの?」
「いや、なんとなく・・」
「・・考え方を変えればいいんだよ、親がいないと気楽って・・しばられる事ないもん」
「そうかな・・」
「幸せとかさ・・1つはいろんな事が絡まってできているんだよ、物だってそうエンジン、サス、タイヤ・・いろんな物が絡まって合わさって車ができる」
「・・つまり?」
「局所だけを見ないでほしいって事、私は親がいなくても幸せ・・他にたくさんの良い事があるからね」
「その良い事の一つに俺も入ってる?」
歩はきょとんとして俺を見る
体育座りをして顔を隠した
「まぁ・・あるかも」
「よかった」
「あの・・君ってさ・・それ狙って言ってんの?」
「うん、そうだよ」
「・・ばか」
月の光は明るく、俺と歩を照らす
俺はすこし歩に近寄った
歩はまた横にずれた
俺はまた近寄った
歩は・・逃げずに俺の顔を見た
「村田くん・・・あのさ」
「ん?」
「・・・なんでもない」
彼女が何を言いたかったのか
俺は分からなかった
※元投稿はこちら >>