結愛は夜遅くまで勉強している
予備校にも通うようになった
俺は仕事から帰ると夕飯を作ったり家事をしたりする
結愛のためなら疲れもふっとぶ
「結愛?受験日まであと何日?」
「いっしゅーかん・・はぁ」
結愛にココアを手渡す
最近まったくエッチしてない
だが結愛のためだ
それは耐えねば
「おとうさん・・」
「ん?」
「がんばるね・・私」
「うん・・俺もがんばるよ」
あっという間だ
本当に・・
結愛が・・受かった
東大に・・
嬉しい反面、ちょっと寂しい
「結愛、おめでとう!」
「うん・・」
結愛はうつむいたまま顔をあげない
「あっちの寮でもしっかりな」
「うん・・」
キスしようとした
結愛はサッと逃げて行った
「私・・寝るね」
「結愛?」
「荷物・・まとめなきゃ」
悲しそうな顔をしてドアをしめた
結愛・・・俺も辛いんだ
でも前に進まなきゃ
数日後、結愛が東京に引っ越す日
この数日間、何をするにしても憂鬱だった
だが腹を決めねば・・
結愛を駅まで送った
電車の時間まで手を繋いで待っていた
「お父さん・・」
「ん?」
「・・大好き」
そっとキス・・した
人前でこんな事したことない
結愛は顔を離すと一粒涙をこぼした
電車が来た
結愛が立ち上がる
「結愛・・」
「おとうさん!いってきます!」
結愛はニコッと笑った
大事な大事な娘の笑顔
俺も・・笑顔で返した
結愛が電車に乗って
俺は見送る
発進のベルが鳴る
・・・見えなくなるまで俺は見送った
手を振って
これからは別れじゃない
二人にとって新しい未来への出発
また会おう、結愛・・
【おわり】
帰宅するまで大分かかった
泣いて運転できない
俺ってガキだな、マジで
これからは一人か
もう夜中だ
家には誰もいない
ゾッとする
僕・・だいじょぶかな
一人でいきられるかな・・おかあさん・・
怖いよ・・
車をとめて
家の鍵を取りだそうとした
「お、おとうさん」
鍵を落とした
振り返る
「ゆ、結愛?」
目の錯覚じゃ・・ないよな?
結愛はボロボロと泣き出した
「次の駅で降りて・・きちゃったの・・・無理・・私・・やだ、お父さんと一緒がいい」
「結愛・・」
「やだ!離れたくない!」
「俺も・・結愛」
抱き合って二人で泣いた
結愛・・結愛・・一緒にいよう
それからずっと・・離れる事はできなかった
ずっとずっと・・寄り添っていた・・
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