歩に事情を話した
車を貸してくれればいいのだがな
「・・私が運転してってやる」
「え?」
「亮太、お前今の状態で長距離運転できるか?」
「むりぽ・・」
「だろ?私が運転してやる、明日は定休日だしな」
歩は親指をたててウィンクした
「すまんな、ありがと」
「いいって、結愛ちゃんもあんな状態じゃつらいだろうし・・女がもう一人いたほうがいい」
「だな・・」
結愛は泣き疲れて寝てしまったようだ
歩はすこし首をかしげた
「亮太、悲しく・・ないの?」
「まったくない」
「そっか・・」
歩は俺の頭をなでなでして鍋から鮭をさらにうつした
「歩って同い年とは思えないよなぁ」
「老けて見える?」
「いや、見た目はぼいんぼいんのエロい日焼けした大学生だな」
「う・・うぅ、うっせ・・何が言いたいんだよ」
「中身がな・・おとなって感じ」
歩はほっぺを赤らめた
「お、お前がガキなだけだよ」
「男の中身なんてみんなガキだよ!」
「ぷっ・・そうかよ」
歩は泊まるつもりらしいな
こいつのお陰でどれだけ救われたか
「ふぁ・・」
結愛がソファからおきあがった
「あ、結愛ちゃん起きた?」
「あゆむさん・・んっ」
歩の膝を枕にしてまた寝てしまった
「かわいい・・」
「結愛を守ってやんないと」
「結愛ちゃんみたいな娘、ほしいな」
結愛の頭を撫でて微笑む歩・・
「ふぁ、私も寝るよ・・明日、朝早いからね」
「うん、俺も寝る」
歩は結愛を抱き締めて寝転んだ
俺は電気を消してベットに寝転んだ
お袋・・一度あんたを殺そうとした事あったっけか
俺は包丁をあんたに向けた
だがあんたはまるで動じなかった
ただ立ったまま俺を見るあんたの目が・・俺の心を殺した
だから・・自立できた
親に頼らずここまでの地位になった
なんでだよ
なんであんたは俺を生んだんだよ
なんで・・みんなみたいに優しくしてくれなかったんだよ
叱ってくれなかったんだよ・・なんで・・なんで・・
「お母さん」
「・・・何?」
「テスト、100点とったの!」
「・・・で?」
「すごいでしょ?褒めて?」「・・・」
お母さんは・・背を向けて部屋から出て行った
僕は部屋でひとりぼっち
なんでなの?
100点じゃ・・ダメなの?
なんで・・なんで?
小学校に入ってから10回あったテスト
全部100点だったのに
一度も褒めてくれなかった・・
どうして・・?
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