亮一は先ほどから動転しているし、混乱している。
娘が男と性交している様子が頭から離れない。それも自分とそっくりな男とだ。
まるで自分が娘を犯しているようだ。
そして何よりも、娘がいつの間にか処女ではなくなっていたことがショックだった。
加奈子に事情を訊けぬ分、健次に訊きたいことは山ほど有る。
だが知りたくないのも事実なのだ。亮一は絞り出すように言った。
「お前じゃないなら、加奈子の初めての相手は誰なんだ?…」
「いや知らないし、追求しない。本当は加奈が男経験ある事も兄貴には内緒にする約束だった。」
答える健次に「それで脅したのか!」と亮一はこえを荒らげた。「まあ、最初は…」
口ごもる健次に亮一は怒りで再び拳に力を込めた。その様子に健次は
「最初はともかく、あいつもまんざらでもない感じだったぜ」と慌てて言った。
そして付け加えた。
「あいつ、気付いてないようだが、あの最中『お父さん』って時々言うんだぜ。」
亮一は頭を殴られたような衝撃を覚えた。「…ど、どういう…」
「『こんな事してお父さんごめんなさい』って意味じゃない。
父親そっくりな俺に抱かれているうち、父親とセックスしてる気になったんだろ。」
健次は言った。
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