やきそばを食べながら歩く
結愛はなんだか怒っている
「結愛?」
「バカっ」
「バカですがなにか?」
「アホっ」
「アホ部長ですがなにか?」
「むー・・」
俺を涙目で睨む
「なんで無くんだ?」
「私・・嫉妬しちゃう」
「お?」
「お父さんがみんなと話してるだけで・・嫉妬しちゃう」
「んー・・いいんでないか?」
「ふんっ!」
プイッとそっぽを向いた
改めて今日の浴衣姿はかわいいな
「浴衣、自分で作ったのか?」
「うん・・」
「かわいいな」
「・・・」
頭を撫でてやる
まだ拗ねてるな
「ね・・」
結愛が俺の袖を握ってくる
「先に進むのが怖くなった」
「ん?」
「お父さんが大好きなの・・・みんなおかしいって言う」
「・・・」
それが普通なんだろう
仲の良い親子・・それ以上の関係は異常だ
「私のせいで不幸になったんじゃ・・とか」
「結愛、大丈夫」
頭を撫でてやる
結愛も悩んで俺に迫ったんだ
「これから他にもたくさん悩んで大人になるんだ・・俺たちの事はもう悩むな」
「う・・」
「まぁ・・なんだ・・大昔の人たちは兄と妹で結婚する場合もあったらしいぞ」
「ほぇ?そうなの?」
「常識なんて時代で変わるんだ・・俺と結愛はよわっちい人間なんだから寄り添って生きて行こうよ」
「うん・・うんっ!」
娘の目が輝いた
涙をふいてやる
「遅くなったがコンテスト優勝おめでとう!」
「うんっ!」
「綺麗だったよ」
「うんっ!」
これでいい・・これでいいんだ
娘が生まれた時
すぐに決めていた名前で呼んだ
結愛・・
誰かと誰かを仲良く結んで愛してあげられる
友達がたくさんできるような子に・・
そして自分も誰かを愛して結べるように
結愛・・ゆめ・・と呼ぶ
娘は俺の夢だ
かけがえのない夢
大切にしたい夢
それから・・彼女が大人になっても俺の側を離れる事は無かった
喧嘩もしたけど彼女はずっと俺の側にいてくれた
ずっと・・ずっと寄り添ってくれた
【終わり・・】
「お父さん!」
「なに?」
「この浴衣買いとりたいんだけど!」
「え?実費で作ったんじゃないの?」
「実は私が作ったんじゃないの・・・買って?」
「え?え?」
「後で買い取るからって・・呉服屋で言っちゃった」
「いくら?」
娘が耳元で言った
「ごにょごにょ」
「・・・あいたたた」
「だからバイトしたいって言ったのに!」
「諭吉さん50人とさよならしなきゃな」
「出世払いする!」
「期待せずに待ってる」
この先苦労は続く・・まぁいいか
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