バス停から徒歩5分40秒
約500mの所にファミレスがあった
細かいのは性格か
いつも時間を計ってしまう
ファミレスに入ると娘と俺は店員に案内され娘と向かい合うように席に座った
「今日はいないけどここで中学校の頃の友達がバイトしてるんだ、私もバイトしたいな」
「ダメ、学校の規則違反だろ」
「言うと思った」
娘はメニューを見ながら私の足を軽く蹴る
お行儀が悪いがかわいいので許す
甘い親だな、俺は
「私、ぺスカトーレ」
「俺は梅茶づけ」
注文をしてから水を一口飲む
娘は向かい側から頬杖をついて私を見ている
「お疲れさま、お父さん」
「うん、ありがとう」
素直に嬉しいが・・
妻にもお疲れさまと言われたい
俺は情けない男だ
諦めてしまえばいいのに
「お父さん、お母さんとは・・どう?」
「お前は気にしなくていいよ、ほら食べなさい」
「うん・・」
娘はパスタをフォークでくるくる巻いて食べた
恐らく離婚するんじゃないかと心配しているのだろう
離婚だけは避けなければならない
離婚が子供に与える傷は親が思うよりも深く残る
俺の両親も離婚したから分かるが・・離婚をすると嫌な傷が残ってしまうものだ
「ごちそうさま」
「早食いはメタボの元だよ、お父さん」
「定期検診でわりとスマートですねって言われたぞ」
「つまり少し太ってるのね」
歳には勝てない
落ちてないのは性欲だけか?いや・・性欲も落ちただろうな
若い頃はすごかったからな
思い出しただけでも恥ずかしくなる
ファミレスを出て家に向かう
もう深夜だ
娘は私の隣を歩く
あっという間に育ってしまうものだな、子供は・・
たま先の事を想像して恐ろしくなる
もし娘が結婚して家を出ていったら
家に帰るのが嫌になりそうな自分が・・
癒しが無くなる
妻は俺を見てくれない
心も体も離れてしまった
もしかしたら娘が一人前になったら離婚をするかもしれない
「お父さん?」
娘が心配そうに俺の顔を見ている
「心配事?大丈夫?」
「なんでもないよ、暗い顔してたか?」
「うん・・」
「ごめんな、心配するな」
娘の頭を撫でる
かわいい娘と離れるのは辛いが
それはまだまだ先の事
家までもう少し距離がある
この時間を楽しもう
こんなに悩むなんて俺もまだまだだな・・
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