社長に事情を話すとかなり同情された
他でカバーするから一週間くらい休みなさいと言われた
社長に拾ってもらい小さな会社の頃から頑張って働いていた
社長とは古い仲だ
遠慮せずに有給使っとこう
さて、荷物はある程度まとめた
家電は新しいのを買おう
荷物は少な目にしておくのがいい
「お父さん、パソコン持ってく?」
「んー、持ってく」
「お父さんの宝物は?」
「持って・・え?」
娘が袋をつき出す
「えっち・・」
「・・あぁ、持ってく」
俺のエロビデオ・・
これは捨てられん
結愛は俺をジト目でにらんでいる
「捨てなよ」
「やだ」
「捨てて!」
「いやだ!」
「・・・」
「・・・」
にらみ合いがしばらく続いた
荷物をまとめて縄で縛る
なんとかエロビデオは死守できた
結愛は不機嫌だ
ピンポーン
引っ越し業者が来た
荷物を運んでもらう
「結愛、行くぞ」
「・・・ふんっ」
頭をなでなでしてやる
家を出て鍵をかけた
すんなり離婚は済んだ
妻とはもう会いたくない
弁護士に依頼したから面倒な法律関係の事は考えなくていい
家の外壁に触れる
家族のために建てた家
俺の大切な家族のために
ぎゅ
結愛が俺のそでを握る
「行こ・・」
「おう・・さようなら」
「さようなら・・」
結愛と二人で家に別れを告げた
幸せだったころの思い出もつまった家を
俺たちは出ていく・・
荷物を搬入してもらった
なるべく少なくしたつもりだったがやはり多いな
家具は明日買おう
結愛は自分の部屋で荷物を広げている
人形とか漫画とかたくさん持っているな
俺は適当に部屋に荷物をおいた
特に飾るような物もないしな
引っ越し業者の人たちにチップと飲み物をあげた
元気よくお礼をしてから出ていった
さて、一息つけるな
結愛の部屋に向かう
結愛はがさごそと箱を漁っている
「ゆーめっ♪」
「ひゃっ!?」
後ろから抱きつく
俺・・もう38歳なのになにやってんだか
「な、なによ・・」
「いや、なにしてんだ?手伝うか?」
「ん・・いい、ちょっと待ってて・・」
「ふーん?」
昔のおもちゃが入った箱だ
なにを探しているのやら
娘の胸にそっと触れる
「おあずけ!引っ越しそばくらい作れるでしょ!」
「あいあい、作ってきます」
乾麺のそばを買ってきた
また家を建てるくらいの金は貯めてあるが・・まぁ、しばらくはここで暮らそう
狭いのも悪くないよな
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