俺の職場は戦場だ
と言えたらかっこいいだろうか
頑張って働いて昇進して部長になった
夏になるとうちの会社は忙しくなる
デスクにたまった書類に目を通す
部下のみんなは忙しく働いている
今日は残業になりそうだな・・
あれこれしてる暇にもう午後22時
もう少し早ければ部下を連れて飲みに行こうと思ったが・・
そろそろ帰らないとな
仕事を片付けてカバンをつかむ
みんな帰ったのを確認してから電気を消す
昇進したが忙しいのに変わりはないな
会社のビルを出て深呼吸
よるの冷たい空気だ
車が行き交いネオンが光る
さて、帰るか
明日は休みだ・・
「亮太くぅーん!」
聞き覚えのある声
振り返った
「結愛?なにしてんだ?」
「えへ、ちょっと遊びの帰りに寄ってみた」
娘が可愛らしい服とミニスカート姿で私を見上げる
「下の名前で呼ぶのはやめなさい、お父さんは部長だぞ」
娘に軽くげんこつをした
娘は頭をぽりぽりかく
「あぁ、愛人だと思われるからね・・ごめんごめん」
「違うよ」
「え?」
「部長は偉いんだから下の名前で読んだらダメだ、部長としての格が落ちる」
「意味不明、やっぱお父さんバカだ」
「・・・・」
娘のジト目に癒されつつバス停に向かう
この時間まで残業はしたことない
バスはあるのか・・
「ね、お父さん・・飲みに行こ?」
「あぁ、後でコンビニでジュース買ってあげるよ」
「ちがうちがう、居酒屋に!」
「ダメだ、こんな時間に未成年を連れてはいけない」
親としてしっかり叱らねば
子供を育てるなら餌を与える親より餌の捕り方を教える親になれと聞いた
娘にはしっかりとした大人になってほしい
娘は不機嫌そうにそっぽを向いた
やはりまだまだ子供だな
「家の近くのファミレスでいいか?24時間営業だろ?」
「え?いいの?」
「その代わり東大に受かるくらい勉強しなさい」
「む!り!」
やはり娘を甘やかしてしまう・・
バスがやってきた
すこしくらい寄り道してもいいだろう
妻は俺の帰りなど待っていないのだから
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