今日の空はどんより曇ってるな
俺の心みたいだ
今日、離婚届の判子を押す
ただそれだけだ
ただそれだけなのに重苦しい心
結愛が俺の服をぎゅっとつかむ
「私も行くよ」
「結愛、無理しなくても・・」
「行く・・お父さんと一緒に行きたい」
「・・・分かったよ」
結愛と車に乗った
やるべき事はやった
弁護士に相談して親権は俺の物になった
もう不安な事はない
だが・・重苦しい心
妻とは喫茶店で待ち合わせた
判子を押したらそれでもう終わり
離婚の完了だ・・
車を止めて喫茶店に入った
すぐに妻を見つける
結愛が手を握ってくれているのがなによりの救い
椅子に座る
妻は俺を見ないで離婚届けをつき出してきた
「書いて・・」
そういわれたので無言でうなずき
俺は名前と判子を押した
妻・・いや、由利子は書類に目を通してため息をついた
「お金は返さないからね?」
「あぁ、君の自由にしてくれ」
「あなたと結婚なんかしなきゃよかった」
ばんっ!
結愛が机を叩いた
まわりの客が静まり変える
「あんたは絶対幸せになれないよ」
結愛が手を震わせながら由利子をにらむ
「母親になんて口きくの!」
「お前なんか母親じゃない!」
由利子が手をあげた
結愛を叩こうとするのを止めた
「由利子、俺はお前と結婚してよかったと思ってる・・・こんないい娘ができたんだからな」
由利子は苦い顔をしてうつむいた
結愛を抱き締めて背中を撫でてやる
もうこの空間にいる必要はない
さっさと帰ろう
結愛と席を立った
結愛はまた由利子をにらむ
「お父さんよりいい男はこの世にいないよ・・バカな女・・」
「結愛、行こう」
「どうせ浮気相手に捨てられるんだよ、あんたは」
「結愛っ!」
結愛と店を出た
車を走らせ我が家に戻った
玄関に入ると結愛が抱きついてきた
「お父さん・・」
「結愛、もう終わったんだよ・・」
「お父さん・・」
ぎゅっと抱き締めて
何も言わずにキスをした
「・・ベット行くか?」
「ううん・・しばらく抱き締めて」
「おぅ・・」
ソファに座って結愛を抱き締めた
頭を撫でながら額にキスをする
しばらくしたら落ち着くかな・・
結愛が一番辛かったはずだ
母親に虐待されて・・
これからは結愛をめいっぱい愛してやろう
そう心に誓った
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