近親相姦 官能小説

前にも言った通り、当時、僕の母は特別養護老
人ホームでヘルパーをしていた。勤務はシフト制
なので、出勤・退勤の時間はまちまちだった。日
勤で母の帰りが遅くなる時は、夕飯の買い物は僕
が済ませていた。以前は近くの小さな個人経営の
スーパーで買い物をしていたけど、品物が高いか
らという理由で、母から駅前のスーパーを利用す
るようにと言われていた。
　その日も母は日勤で、僕は夕方頃に駅前のスー
パーへ向かった。けれど、駅前のスーパーは定休
日だった。そう言えばそうだったと思った僕は仕
方なく、品物が高いからやめておけと母から言わ
れていた近所のスーパーの方へ行ってみた。
　久しぶりに来てみると、客の数もそんなに多い
わけではなく、スムーズに買い物ができそうだっ
た。値段も母が言うほど高いとは思えなかった。
野菜コーナーのきゅうりを見て、思わず母がきゅ
うりでオナニーしているところを想像してしまっ
た。僕の股間はまた膨らみ始める。
　家に帰ったらオナニーしよう……。
　そう思って、さっさと買い物を済ませることに
決めた。朝に母から渡されたメモを見ながら買い
物かごに商品を入れている最中、背中に何か視線
を感じた。僕はチラッと横目で後ろを確認する
と、恐らく近所のおばさんたちだろうか。三人集
まって、僕の方を見ながら何かヒソヒソ話をして
いる。まだ制服のままだったので、もしかして高
校生が買い物をするのが珍しいのかなと思い、感
じ悪いけど気にしないでおこうとそのままレジへ
向かった。
　６時半頃、仕事を終えた母が帰って来た。母は
買い物袋を見ると、驚いたような顔をした。
「そこのスーパーで買ったの？」
　と、僕の方を振り返らずに訊いてきた。
「うん。今日は駅前のスーパーが休みだったんだ
よ。値段、そんなに変わらないと思ったから買っ
たけど……、まずかった？」
「あ、ううん、いいの。そういうことなら」
　母はそう言って話を切り上げようとしたけど、
僕は何となく気になった。
「ねえ、お母さん」
「ん、なあに？」
　母は食材を包丁で切りながら、振り返らずに返
事をした。
「どうしてそんなにそこのスーパーを嫌うの？値
段だって高いって言うほど高くないし、わざわざ
駅前にいくよりは楽だと思うんだけど。もしかし
て、あそこで何かあったの？」
　母は黙って食材を切り続けている。味噌汁にす
る鍋のお湯が温まり、母は包丁を止めてダシを入
れた。
「ねえ、お母さん。僕の話聴いてる？」
「……聴いてるよ。ちょっと待ってて」
　母は切った豆腐とネギを鍋に入れると、コンロ
の火を切った。そのまま母はタオルで手を拭く
と、台所を離れて僕の前に座った。母は何か言い
にくそうにして、後ろで結んである髪をいじって
いた。
「あのね……」
　しばらく無言だったあと、母は言葉を切り出し
た。
「隣の隣の部屋にいた牧村さん、覚えてる？」
　牧村さん……。僕は一瞬戸惑ったけど、記憶の
片隅に残っていたその名前を探り当てた。
「ああ、覚えてる。お母さんが仲の良かった人だ
よね？確か、僕たちと同じ母子家庭だったよね。
僕と同い年くらいの子供がいて……。急に引っ越
していなくなっちゃったけど……」
「そう、その牧村さんなんだけど、ちょっとした
噂があってね。それでここにはいられなくなった
みたいなの」
「噂？噂ってどんな？」
「うん……」
　母は言いにくそうにして、下を向いていた。僕
はジッと母を見つめて答えを待った。母は時計を
チラッとみると、また後ろ髪に手をやって、それ
から膝の上に置いた。
「牧村さん親子、あんまり仲がよかったからね。
仲が良すぎるって……」
　僕はそれを聞いてピンときた。
「近親相姦……てこと？」
　母は黙って頷いた。僕はとっさにスーパーでの
出来事を思い出していた。あのおばさんたちが僕
を見てヒソヒソ話をしていたのは、そういうこと
か！
「お母さん、あまりご近所で変な噂が立つような
ことはしたくないの。あのスーパーによく来てい
る人たちらしいのよ。牧村さんたちの噂を広めた
のは……。」
「でも……、牧村さんたちがそうだったっていう
証拠はないんでしょ？僕とお母さんにしたっ
て……そんなのおかしいよ！」
「おかしいけど……、世間はそう見てはくれない
のよ」
「そんな……。そんなこと……。だったらいっそ
のこと……！」
　僕はそこまで言って口をつぐんだ。興奮のあま
り、言ってはいけないことを思わず言いそうにな
っていた。僕は母と視線を合わせられずに、黙っ
て下を向いていた。長い沈黙の後、母はそっと僕
の手を握って来た。
「お母さんも疲れちゃった。もうこんなこ
と……」
　それは噂になっていることを言っているのか、
それともこの生活全体のことを言っているのか。
僕にはその両方に聞こえてきた。僕はその時、今
さらながら悟った。お母さんは僕の知らない所
で、ずっと悩み、苦しみ続けていたんだ。お父さ
んと離婚したあの日から……。
　母はポツリとそう呟くと、僕の首に腕を回して
抱き寄せた。不意のことで僕は、されるがままに
母の胸元に顔を埋める形になった。
　温かい母の体……。香る母の匂い……。聞こえ
る心臓の鼓動……。
　そして僕の心臓の鼓動も早くなった。いけない
と思いつつも、股間を膨らましていた。頭がボー
っとする。思わず母をギュッと抱きしめ返した。
「お母さん……！」
　僕の自制心は、あと一歩の所まで追い詰められ
ていた。その時、母の手が僕の股間に触った。母
の手の感触が、ズボン越しに染み渡ってくる。僕
は恥かしさと興奮のあまり、全身がカッと熱くな
るのを感じた。母はしばらく僕の股間に手を当て
たまま黙っていた。そして、
「お母さん、今、生理中なの。それでもい
い……？」
　そう言ったお母さんの声は、儚く、そして優し
かった。
（続く）


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