夏が終わり、季節は秋へと移り変わっていました。
空気も少しずつ涼しさを増していき、アーと肌を重ねる事が一層心地良く感じ
られます。
この日は、久々に母さんが午前中から出掛けて、夕方までアーと2人っきり。
早速シャワーを浴び、バスタオル1枚だけを身に付けた僕達は、アーの部屋の
ベッドに腰掛けていました。
僕の脚の間にアーがすっぽり収まっています。
胸一杯に広がる、ボディソープとシャンプーの織り混ざったアーの匂い。
しかしアーの方はどこか気もそぞろ。
時々ため息を付きながら、
「・・富田のヤツ、大丈夫かな・・・」
なんて呟いています。
富田というのは、アーのバレー部の後輩で現在の部長です。
実はアーは、最近その富田さんから相談を受けていたのです。
10月の始めに新人戦があったのですが(当然アーも応援に行きました)、その成
績が思ったように奮わず、それ以来練習にも身が入らなくなって、部全体のま
とまりもなくなってしまった、と。
それを聞いたアーは、治まったと思っていたバレー●鹿の血に火が点いたらし
く、前副部長の相棒と連れ立って、暇さえあればバレー部の練習に顔を出すよ
うになっていたのです。
で、この日も本当は他の3年のOGと一緒に練習に参加する予定だったのです
が、朝になって母さんが出掛ける事が分かったので、半ば無理矢理キャンセル
の電話をさせたのでした。
そんな訳で、これから2人きりでセックスを楽しもうとしているのに、アーの
気持ちは学校の体育館に飛んで行っているみたいです。
『これだからバレー馬●は・・・。』
まあ、富田という後輩は、すごい素直で真面目そうな感じはしましたが(実
際、部員達からの信頼も厚いそうです)、アーのようにリーダーシップを発揮
できるようには見えません。
どっちかと言うと、みんなの意見を聞いて物事を進める調整型タイプ。
ただ意見の食い違いが大きすぎると、結局まとめる事ができずに一人でアワア
ワ言ってそうな・・・。
アーが心配するのも正直理解できます。
でも今はこっちに集中してもらいたい所です。
「富田って、山路(バレー部の前副部長。僕達の幼なじみで、アーの親友です)
と一緒に、この間来た子だろ?」
「うん・・・・マジメで良い子なんだけど、なーんか今イチ頼りないんだよな
ぁ・・・」
「・・・・・結構、可愛いかったよな・・・・・・・」
「なに・・・なにが言いたいの?」
一瞬にしてアーの声が硬くなります。
実際、富田って子は、何というか守ってやりたくなるような妹系と言います
か。
アーとはタイプが違いますが、これまた可愛い女の子なんです。
「いや、別に・・・・・・・そういや、夏休み前にバレー部の後輩紹介してく
れるって言ってなかったっけ?」
横目でジロリと睨んでくるアーを無視してシレッと言ってみます。
「・・・アタシじゃ不満なわけ?」
「そんなんじゃねーけどさ・・・・でも俺より部活の方が大事ぃみたいな態度
取られると、淋しくなるっつーか・・・誰かに慰めてもらいたくなるっつー
か・・・」
アーのウエストに両腕を回し、うなじに顔を埋めるようにして、わざとらしく
甘えるような仕草をしてみたりして・・。
「・・・あ~、そう言えばアンタって、昔っから年下の甘々な子好きだったわ
ね」
焼き餅が見え見えのギスギス声。
それにしても、自分の後輩にその言い方はないだろう・・・・・。
その時、アーがほんの小さな声で呟きました。
「これだから・・・・・」
でも最後の方が聞こえません。
「なに?・・今なんて言った?」
「なんでもないわよ!」
大きな声でそう言うと、覚悟を決めたように体を預けてきます。
「・・・気悪くしたならゴメン・・・・もう部の話はしないか
ら・・・・・・・他の子の事、可愛いなんて言っちゃヤダ・・・・」
最後の方の声は、小さい子供が拗ねたような感じ。
思わず吹き出してしまいました。
「!?・・なにが可笑しいのよ!」
アーが顔を赤くして叫んできます。
「・・・・いや・・ごめん・・・・・・お前って、ホント可愛いヤツだ
な・・・・」
必死に笑いを堪えていたせいか、思わず嘘偽りのない本心を言ってしまいまし
た。
突然の、予想もしなかった言葉に、一瞬にして顔を真っ赤にしたアーが目の前
で絶句しています。
その姿がまた面白くて、アーに頭をゲンコツで殴られるほど爆笑してしまいま
した。
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