「お姉ちゃん? 私、真理子、健太君から聞いたわよ。この前の夜、家に来た
んだってね?」
突然真理子からの電話でした。
「あの子が話したの、貴女に? もう健太ったら・・。」
私は独り事の様に言いました。
「どうせなら、部屋に来れば良かったのに・・。」
「如何するつもり? 」
私は真理子の真意が聞きたかったのだ。
「如何するって・・、如何もこうも無いでしょう。健太君だってもう大人じゃ
ない。
彼にだって好きにする権利有るでしょう? お姉ちゃん、それを邪魔するつ
もりなの?」
「貴女ね・・・、よくもそんな事言えるわね。健太は私の息子よ。」
電話では相手の様子は判らないけれど、その顔が見える様です。
「お姉ちゃん・・さあ、私が知らないとでも思っているの? 健太君とお姉ち
ゃんの事、お義兄さんに話しても良いのよ。」
「真理子!」
「怒鳴らないでよ、話すとは言ってないでしょう。お姉ちゃんが判らない事言
うから・・。」
「貴女だって、浩二さん裏切っているじゃない。自分だけ良い娘ぶらないで
よ。」
お互いの暴露合戦は互角でした。
「健太君が、私と言う女に興味持っただけなんだから・・それで良いじゃな
い。変な女に引っかからないだけ、マシだと思えば良いでしょう?」
真理子が言う様に、確かにその通りなのですが、
「私から見たら、同じ様なものよ。」
私は思わず、真理子にそう言っていました。
「言ってくれるじゃないの。大丈夫だって、私の事、信用してよ。ゴムだって
しているし、お姉ちゃんの事も、お義兄さんには言わなから・・。」
「簡単に言わないでよ、真理子の事、信じろったって、彼方もう昔の事忘れた
んでしょう?」
「お姉ちゃん、昔の話はなし、もう直ぐ昔の事持ち出すのは悪い癖だよ。」
そこは二人だけの姉妹です。子供のころから真理子とは、仲の良い姉妹で
す。
気心は、十分に通じているのも事実なんです。
「でも驚いたのは私の方よ。お姉ちゃん、凄い事しているんだもの。」
「真理子、止めて。」
私はその事だけは触れて欲しくは無かった。
それは息子と私だけの問題なんです。
母子相姦を気軽に楽しんでいる訳で無い。
興味本位で、この問題に触れて欲しくは無かった。
例え仲の良い妹にでも・・。
「その事は忘れる事にするから、お姉ちゃん安心して。でも健太は別だから
ね。
健太はお姉ちゃんの所有物じゃないよ。1人の人間だし、立派な大人なんだ
から。
意思は尊重しなけりゃ・・。チャンと健太と話し合いなよ。」
何とか真理子とは決着がついた様です。
全ては息子の意思に任せる事にしました。
真理子とならば、安心だとも言えるし、何より、これからも、彼と関係は続
けられるのです。それが何よりでした。
「お姉ちゃん、健太のアレ、凄いね。お姉ちゃんいつも泣かされっぱなしでし
ょう?」
「真理子!」
私の声で、妹は慌てて電話を切ってしまいました。
<影法師>
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