「寿美ちゃんと一緒になりたいって話、真ちゃん、お母さんから訊いてない
か?」
今度は真一が驚く番だった。
「そんな話有ったんですか? 僕訊いていませんけど。」
「なんだ、そうかよ、寿美ちゃんの言う通りなのかよ。如何言う事だ。」
寺田が一人事を呟いていた。
「母は何て言っていたんですか?」
真一は寿美子の返事が気になった。
「寿美ちゃんは断って来たけど、俺はてっきり真ちゃんが・・。」
「そうですか・・。」
「で、真ちゃんは如何なんだ、お母さんの再婚には反対か?」
真一は返事に窮した。
「判りません、そんな事急に聞かれても・・。」
「そうか、そんなもんかな?」
「何だ、真ちゃんにも話してないのか? と言う事は、この前の返事は、寿
美ちゃんの意思って事なのか?」
寺田は独りそんな言葉を繰り返していた。
結局寺田との話しはそれで終わったのだが、真一は母が何故この話を何も告
げずに、黙っていたのか、その方が気になった。
寺田は真一と別れた後、寿美子の処へ立ち寄ると言った。
それも又、真一には気になる処で有った。
玄関のドアが開く音がした。
寿美子が帰って来た様だ。
真一は蒲団の中で目を閉じていた。
「真ちゃん、起きているでしょう?」
寿美子が真一に声を掛けた。そして、そのまま、真一の横に座った。
「真ちゃん、ごめんね、真ちゃんに寺田さんとの事黙っていて、まさか真ち
ゃんの処に行くなんて思わなかった。」
母が、本当に済まなそうに話をしていた。
「僕に話し難いと言う事なの? つまりは結婚したいと言う事なの?」
真一は、話しをしながら、つい感情が籠ってしまった。
「違うよ、真ちゃん、それは違うよ、そんな事母さん、考えた事無いよ。」
「それじゃ、何で言わないんだよ?」
「言っても、どうせ断るつもりだったから・・だから真ちゃんに話しても意
味無いと思ったの、それだけなんだから。」
寿美子は、真一に本当の事を知って貰いたくて、必死だった。
「本当に断るつもりだったの?」
真一は寿美子にそれを確認したかった。
「本当だよ、寺田さんだって、真ちゃんにはそう話したでしょう?」
真一は寿美子の言葉に頷いた。
「母さんの話し、信じてくれるよね。母さん、真ちゃん以外の人と、一緒に
なんか、ならないよ。母さん、真ちゃんのものだから・・。」
寿美子は、真一と向き合っていた。
お互いにその目をジッと見つめあっていた。
そして、二人は同時に同じ動きを始めていた。
着ているものを、二人は同時に脱ぎ始めたのだ。
二人の思いは完全に一致していた。
お互いに、相手の気持ちを確かめずにはいられなかったのだ。
己の身体で、相手の気持ちを知りたいと二人は思った。
真一の方が早かった。
寿美子はスリップ姿のまま、真一の蒲団の上に横にされた。
手荒く、真一の手で、寿美子のショーツが引き下ろされた。
「真ちゃん・・、真ちゃん・・。」
「かあさん・・かあさん・・」
二人はお互いを呼びい合いながら、そのまま重なりあって行った。
<影法師>
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