「ごめん、母さん・・。」
寿美子は放心状態であった。
先程まで、気が変になったのでは・・そう思う程、狂ってしまっていた。
真一の行った予期せぬ行動に、寿美子は対処出来なかった。
乱れに乱れた服装が、その出来事の騒然さを物語っている。
張本人である真一は、自分が引き起こした事に対する罪悪感で、スッカリと
打ちのめされていた。母親を力ずくで犯してしまった事に・・。
「真一・・、あなた・・・。」
彼に言う言葉は、それ以上出て来なかった。
無論、彼を責める事等出来ない。
そうでなくても、自分がした事を、彼は判っている・・その姿を見ればもう
十分だ。
これ以上彼を責めるなんて事は、母親として出来るはずも無かった。
最愛の息子は、自分を女として愛してくれた、ただそれだけの事ではない
か、寿美子はその時何故かそう思った。この何日か前に、真一の自分に対す
る思いを聞かされていた。
その時は、これほどまでに彼が思い悩んでいたとは知らず、軽く考えていた
のかもしれない。この事は十分に予測出来た事なのだ。
それを無視してしまった、自分が悪いのだと寿美子は思った。
打ちのめされた様な、息子の姿を見ているのが辛かった。
「真一、お父さんが帰って来る前に、早く着替えて! 母さんも着替えるか
ら・・、今有った事は,誰にも言っちゃダメ、いいわね?」
「かあさん・・。」
「早く、お父さんが戻る前に・・、さあ、真一、急いで・・。」
寿美子は母親の顔に戻って、この場を早く取り繕わなければと考えた。
真一は脱ぎ捨てた下着を拾い集め、それを身に着けた。
問題は寿美子の方だ。
散らばった下着を集め、急いで風呂場へと走りこんだ。
真一が放った精液を丹念に洗い流した。
予想外に夥しい量が、膣の中から流れ落ちた。
心配ではあった。正直な処、決して安全な日では無かったからだ。
寧ろ危険な可能性も残されていた。
拠り所は、一度だけだったと言う事。
大急ぎで、その形跡を拭い去ると、今度は落ち込んでいる真一が気になっ
た。
「忘れるのよ、真ちゃん、いいわね? 今日の事は忘れなさい!」
真一の膝の上に手を添えて、十分彼に言い聞かせると、寿美子は彼の部屋を
出た。
<影法師>
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