目を閉じて暫くすると、寿美子の蒲団の端を捲くり上げる気配がした。
真一が暗闇の中で、寿美子の身体を抱きしめて来た。
寿美子も、同じ様に真一の身体を抱きしめ返すと、
今度は、真一が寿美子の乳房をまさぐりはじめた。
寿美子は、熟れた身体をその手に委ねた。
乳房が吸われ、その愛撫に寿美子の股間が潤んでいた。
気のせいだか、今夜の真一は、愛撫にいつも以上に時間を掛けている様に思
えた。
やがて寿美子のパンティーが、股間から抜き取られた。
両足をこじ開けると、濡れた股間をその手で探られた。
真一が来る・・と、寿美子は感じた。
案の定、次の瞬間、寿美子の身体に押し被さると、入口にペニスが押し当て
られた。
そして、一気に刺し貫かれた。
「あっ!」
その瞬間、寿美子は声を上げた。
「寿美ちゃん、好きだよ。」
その声に驚いたのは、寿美子だった。
その声の主は、真一では無かった。
「エッ、誰?」
寿美子は、その時初めて自分がひとつになっている相手が、真一で無い事に
気づいた。
部屋の灯りが点り、自分の身体に覆いかぶさっている人物が判った。
「寺田さん!」
その相手は、なんと寺田だった。
「寿美ちゃん、好きだ・・大好きだ・・。」
「―だめ・・てらださん・・こんなのだめ・・・。」
寿美子は、慌ててその身体を押しのけようとしたが、すでに遅い状態であっ
た。
寺田のその身体の下で、完全に押さえ付けられたまま、彼のピストン運動を
受ける事に・・。
十分に受け入れ準備が出来ていた寿美子の身体は、その動きに心ならずも反
応した。
「てらださん・・だめ、やめて・・だめ~~!」
寿美子は、そう叫ぶのが精一杯の行動だった。
真一の胎児を宿した中に、寺田の息吹が注がれた。
「ごめんよ、寿美ちゃん、俺、責任は取るから・・。お腹の子も、俺の子と
して育てるよ。」
寿美子は、その事の成り行きに、多々茫然とするだけだった。
「寿美ちゃんを騙す様な事して、本当にすまない。今夜の事は、真ちゃんも
知っている事なんだよ。真ちゃんが僕を家に入れてくれたんだ。」
彼が家に入れた事を、そう説明した。
「うそ、そんな嘘言わないで・・あの子がそんな事をする訳無いもの・・嘘
つかないで。」
寿美子は、寺田の話を信じるが出来なかった。
真一が、自分を売る様なマネをする訳が無い。
寺田が、真一を脅すかなんかして、無理やりさせたに違いない、寿美子はそ
う思った。
「真一は?」
「真ちゃんは、僕の処で寝ている。一晩だけ交代する事にしたんだ。」
寿美子は身体を起こすと、浴衣を羽織り、寺田に正対した。
「お願い、今夜はもう帰って。寺田さんを泊める訳にはいかないわ。お願い
だから・・帰って!」
寿美子は、珍しく怒りを見せていた。
普段はあまり見せる事の無い、強い口調で寺田にそう言い放った。
そんな寿美子の態度に、さすが寺田も意気消沈した。
やはり強引過ぎたと反省しながらも、寿美子を思う気持ちには、変わり無か
った。
「判った、そうするよ。真ちゃんには、家に戻る様に話すよ、本当にごめん
よ。
それと、くれぐれも、真ちゃんを責めないで欲しい。全ては俺のせいなんだ
から・・。」
寺田はそう寿美子に謝り、服に着替えると帰り支度を始めた。
寺田が帰った後、寿美子は彼が言った言葉を思い返していた。
今夜の事は、真一も承知していると言うのは本当なのだろうか?
寺田の言う通り、真一が承知してこの事に協力したのか?
寿美子は、真一の真意を計りきれずにいた。
<影法師>
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