「あなた、着替えたら?」
喜美子は、旅館の仲居がいる前で、わざとらしくそう言ってみた。
「そうするか、浴衣の方が寛げるね。」
甲斐甲斐しく俊夫の世話を焼く喜美子を見て、仲居は、
「まあ、お仲の宜しい事。」
そう言って喜美子を歓ばせた。
「私がこんな年上でしょう、だからこの人を大事にしないとね。」
喜美子は仲居にそう説明した。
「そうでございます奥様、旦那様は大事になさいませ。」
喜美子は嬉しそうに仲居と話した。
「聞いた? 奥様だって・・。」
仲居が去った後、喜美子は俊夫の横に座り、嬉しそうに先程の言葉を口にし
た。
「奥様って、私の事よね。」
「そうに、決まっているだろう。」
俊夫は喜美子に向かって頷くと、
「好き!」
喜美子が思いっ切りその身体を預けて来た。
「母さん・・。」
「いや、喜美子って呼んでくれないといや。」
喜美子が拗ねて見せると、
「喜美子。」
俊夫はそぐにそう呼んだ。
「して・・ここですぐして・・。」
気のせいか喜美子の目が潤んでいる様に見える。
「如何したの、喜美子。」
「俊夫が欲しい・・、お願い・・今直ぐここで抱いて・・。」
喜美子は、自からブラウスの前を開く仕草を始めた。
下に、俊夫好みの黒いスリップが現れる。
近頃母喜美子が着けている下着の変化を、父親は果たして気が付いているだ
ろうか・・俊夫は時々そう思う事がある。
それまで白やベージュ色一辺倒だった喜美子が、俊夫の同居を境に、その下
着に変化が生じたのは当然の事だ。連日の様に二人の間に繰り広げられた交
わりに、無くてはならない演出の一つが、喜美子の身に着ける刺激的な下着
だった。
普段着の上からでは想像が付かない下着を、喜美子は身に着ける様になって
いた。
少しでも愛されたいと言う切ない女心から出る発想だ。黒いスリップ一枚に
なった喜美子は、俊夫との濃厚なキスを繰り返していた。
喜美子の脳裏にあるのは、この旅行の間に、何としても、俊夫の子を宿した
いと言う事だ。
計算上では、その可能性はゼロでは無い。
夫相手ならともかく、若い俊夫となら、その確率は数段にアップするはず。
喜美子はそう考えていた。
「俊夫・・・、あぁぁ~、としお。」
積極的に喜美子は俊夫の浴衣をはだけ、彼の肉棒に手を伸ばした。
そして、愛おしい様に、その物を静かに口の中に収めた。
<影法師>
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