一つ家に、二人の男と過ごす事が、こんなにも気疲れするものとは思いませ
んでした。
主人は兎も角、もう一人の男が心配だったのです。
何処まで、事の重大さを認識しているかと言う事です。
夜中にトイレでの待ち伏せは、やはり問題だと思いました。
浩二は、主人に対抗意識を抱いているのです。
私が主人とすると話すと、あんな嫌がらせをして、その挙句私を求めて来ま
した。
そうさせたのも、全て私がその切掛けを作ったのです。
浩二だけを責める事は出来ませんでした。
主人が変える前からも、何度も彼とはこの事で話はしていたつもりでした
が、
もう一度話す必要を感じました。
トイレでは、そんな話をする事が出来ませんでしたので、葬急にその機会を
作らなければと思いました。
「浩二、母さんと少し話しない?」
何日かして、彼を捕まえてそう話しかけました。
「別れないよ、母さんとは。」
行き成りそんな事を言いだしました。
「浩二、そんな事言わないでよ。別れるとか別れないとかじゃないでしょ
う、浩二と母さんは?」
「綺麗事言うなよ、今更母子なんて言わないでよね。」
彼が怒るのも判りました。
「だから、母さんに話をさせて。時間作って?」
何とかそう言って息子に頼みました。
「ホテル行こうよ、一発やってから話をしよう。」
「浩二、真面目に言っているのよ・・。」
「俺だって真面目だよ、それが条件だ。」
如何やら本気の様でした。
「判った、そうすればいいのね。じゃ、いつにするの?」
「明日!」
「明日って・・そんなに急に?」
「これからだっていいよ、すぐやりたい。」
「ばか」
そう言ったものの、彼が私を欲しがっているのが良く判り、嬉しくもありま
した。
正直言って、私だって浩二としたいのです。ただ、その事を口にする立場で
無い事が歯痒いのです。
「判ったわ、外から電話して頂戴、すぐに出て行く様にするから・・。」
私は息子にさせる事を約束させられました。
<影法師>
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