実家の玄関先まで喜美子を送り届けると、横の暗がりに喜美子を引き込み、
唇を合わせた。
蕩けてしまいそうなキスを繰り返した後、
「それじゃ、中に入るね。」
喜美子は俊夫の身体から離れた。
室内に灯りが灯っているので、父親は既に帰宅している様だった。
「おやすみ。」
「バイバイ。」
俊夫に向かい手を振る喜美子。
何度も俊夫の方に顔を向けながら、喜美子は中に消えて行った。
俊夫はアパートに戻ると、その部屋がやけに広く感じられた。
たった一人少なくなっただけなのに・・部屋の中は火が消えた様に寒々しく
感じた。
先程までの情事の名残が、生々しく残る部屋。
しわくちゃになったままのシーツが、母との交わりを思い出させた。
(もう母さんは僕のものだ・・。)
あの乳房も、あの蜜壺も・・みんな僕の為に有る・・。
俊夫は、母喜美子の絶頂時の表情を思い浮かべると、次はどの様にすれば母
を誘い出す事が出来るのか・・その事を早くも考え始めるのであった。
俊夫と別れた後、喜美子は帰りが遅くなった事を夫に詫びた。
「食事した後、少しだけ俊夫の部屋に寄って来たの・・。」
そう言って遅くなった理由を説明したが、その間に私達がセックスをしてい
たなんて、多分思いもしないだろう・・喜美子はそんな事を考えていた。
その後、風呂に入り、息子俊夫との情事の跡を洗い流した。
『中に出しちゃったね・・、ごめん。』
息子の言った言葉が甦った。
初めてだった。
防具を使わずに息子を受け入れたのは、今夜が初めてだ。
何故そんな気持ちになったのか・・喜美子にも判らなかった。
安全日だから・・と言う事も有るが、万が一を考えたら、絶対にゴムは使う
べきだ。
だがあえてそれをせずに、黙って・・中に出す事を息子に許してしまった。
そのせいか・・、その時の行為は、喜美子に最高のエクスタシーを与えた。
そして、益々息子俊夫との関係は抜き差しならぬものに変わって行った。
「おい、なんだ、俺の話聞いてなかったのか?」
喜美子は夫の問い掛けに、
「あっ、ごめんなさい、チョッと考え事をしていたもんだから・・、何でし
たっけ?」
「お前、最近おかしいぞ、時々ボーっとしている事があるし、何か心配事で
もあるのか?」
喜美子にも、その原因は判っていた。
「今晩少し遅くなると思う。先に寝てくれて構わないから・・鍵も掛けてし
まっていいぞ。」
予期せぬ夫からの話であった。
夫が出掛けた後、喜美子は急いで俊夫にメールを打った。
「今夜お父さんの帰り、遅くなるそうです。良かったら・・顔を見せて。」
正直な処、喜美子は俊夫と無性に逢いたかった。
いや、正確な言い方をすれば、抱いて欲しいと言うべきだろう。
前回の逢瀬から、一週間近くが過ぎ去っていた。
その時、初めてラブホテルを利用した。
適当な理由が思いつかない為の苦肉の策でも有った。
息子の元へ行くと言う理由は、何度も続けては使えない。
だと言って、俊夫を家に迎えるには時間的に無理が有った。
しかし、二人の気持としては、長くは離れてはいられなかった。
そして、その行きつく先が、ラブホテルを利用すると言う方法だった。
初めて入ったラブホテルでの交わりは、更なる快楽を喜美子に与えた。
施設の全てが、その為に有る様な場所だ。
それは、喜美子にとって新鮮でも有り、刺激的でも有った。
そこでの快感は、それまで以上に喜美子を酔わせたようだ。
喜美子のその肉体は、あの時の快楽を再び求め始めていた。
家事をしている時も、俊夫と交わっている時の事を思い出してしまうのだ。
気が付けば、股間が熱く疼き、そして潤いを帯びて来る。
恥ずかしくてたまらなかった。
結婚して以来、こんな事を考えるのは初めての事だ。
だが、理性だけで解決できる事でも無かった。
疼く肉体を静める事が出来るのは、息子以外にはいない。
だからと言って、それを口にするのは喜美子にとって簡単な事ではない。
(お願い、私を抱いて・・。)
たったその一言が気軽には言えない。
自分達の爛れた関係を、どの様にして自分自身に言い聞かせるのか・・、そ
の事を日々思い悩む喜美子であった。
<影法師>
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