喜美子にとって、俊夫とこうして一緒に出歩くのは、本当に久しぶりだっ
た。
しかし、喜美子の脳裏には、少しだけ後ろめたさがあった。
それは、これから自分達が行なおうとしている事を考えたからだ。
セックスそれ自体は決して後ろめたいものではないが、それは相手次第だ。
恋人や、配偶者相手なら至極当然な行為であるが、喜美子の相手はそのどち
らにも属さない。
むしろ、不倫相手に入るのかもしれない。いやそれ以下の存在かもしれな
い。
時折、俊夫が喜美子の方に顔を向けると、何故だか喜美子は気恥かしさを感
じる。
歩いている人々が皆、自分達の関係を知っている様な錯覚に陥る。
母親の喜美子とその息子が、息子の部屋に出向きオ○ンコをする・・。
その事を皆知っていて、喜美子を見ている様に思えたからだ。
喜美子は、今ここにいるのは俊夫の母親と言う自分では無く、完全に一人の
女だと言う事を思い知らされていた。
持参したピンクのネグリジェを身に付けた喜美子は、カーテンを引いた俊夫
の部屋で
その腕の中に抱かれていた。
俊夫の左手が、透けて見える乳房を包み込んでいた。
「だめ~、もっとやさしく・・・。」
喜美子の乳首が勃起して硬くなっている。
やや顔を後ろに向ける様にして、俊夫と唇を重ねた。
俊夫の手は更に乳房をまさぐる。
喜美子の身体は、少しずつ崩れ始めた。
必要以上に敏感な身体になっている。
それはと言えば、
全ては、許されない行為と言うその甘い名前から来る誘惑が原因だ。
こんな事は許されない事なのだ・・いけない事、それが喜美子を寄り過敏に
させた。
「あぁぁぁ~、そんな処舐めちゃ・・・・ダメ~~。」
「いけない~、あぁぁ・・いけない~~。」
「突いて・・モット激しく突いて・・アゥゥゥ~~ゥ~。」
次々と喜美子の口からそんな言葉が吐きだされ、
その度に喜美子の肉壺から汁が溢れ出した。
「母さん・・・凄いよ・・見て・・母さんの中に僕のものが入っている・・
ねえ、見て御覧。」
「いや~、恥ずかしい~、いやそんな事言っちゃいや・・。」
二人は、2度と抜け出せない、禁断の世界にはまり込んでしまっていた。
あの時、この様な自分を果たして想像出来たであろうか?
我が子と禁断の行為にのめり込む自分の姿を、喜美子は恐ろしくも思えた。
自分の何処に、こんな情念が秘めていたのだろうか・・?
もはや、行きつく処まで行くしかないと喜美子は覚悟を決めていた。
愛する息子となら・・地獄まで堕ちて行くつもりになっていたのだ。
窓から差し込む陽射しが、早くも西に傾き始めていた。
たった今激しい絡みを終えたひと組の男女が、その身体を寄せ合っていた。
「中にしちゃったね、ごめん・・。」
俊夫がポッンと呟いた。
「構わないわ・・、そんな事気にしないで・・。」
「大丈夫・・?」
「彼方はそんな事考えなくてもいいから・・。」
喜美子は、自分でも何故かそんな風に思えていたのが不思議だった。
如何して、そんな言葉が口から出たのだろう。
もしかしたら、本当に息子の事を愛してしまったのか?
愛する彼の子供なら・・、それもまた・・・。
そんな気持ちが喜美子の中に芽生えていたのかもしれない。
「母さん・・。」
俊夫は全裸の喜美子を抱き寄せた。
「そろそろ家に戻る支度しないとね。」
「父さん、少し遅くなるって言っていたでしょう?」
「そうね、遅い時は携帯に連絡入れてくれる事になっているけど・・。」
喜美子は、俊夫に抱かれたままそう言った。
そう言い終えたかどうかの内、枕もとに置いた母のバックの中から、聞きな
れた着信音がした。
「あの人からだわ・・。」
喜美子が全裸の身体を起こすと、バックから携帯を取り出し、直ぐに応じ
た。
「はい、私です。どう・・、帰れそうですか?」
携帯を耳に当てながらも、喜美子の顔は俊夫の方に向いていた。
「えっ? ダメなんですか? じゃ、食事は要らないのね・・。」
喜美子の言う言葉を聞いていた俊夫が、不意に喜美子の携帯を取り上げる
と、
「もしもし、父さん? 俊夫です。うん、そう・・今、家に顔を見せに来た
ところ。」
行き成りそう言って父親と話を始めたのである。
喜美子を見て、チョロッと舌を出して見せた。
「父さん、メシ要らないなら・・母さんを外に連れ出しても良いよね?」
「うん、そう、たまには外で一緒に食事するよ。いいでしょう?」
俊夫の話を聞いて、喜美子は息子の考えている事を理解した。
「じゃ、次は3人でね・・それじゃもう少しだけ、母さんをお借りしますか
ら・・?」
そう話し終えると、俊夫は携帯を切ると、それを喜美子に手渡しながら、
「と言う事で、もう少しだけ母さんをお借りする事にしたよ・・。」
(お借り)と言う部分をワザと強調して言ってみた。
「もう・・、まるで品物扱いね・・、酷い!」
喜美子は、頬を膨らませて、拗ねた振りをして見せる。
「これで、もう少し一緒に居られるね?」
俊夫はそう言って、喜美子の顔を見た。
「そうね・・、本当に悪い子・・、彼方って人は・・。」
喜美子は俊夫の言葉に対し、そう言って応えた。
「だって、母さんを離したくないもの。」
俊夫の言ったその言葉が、喜美子に女としての歓びを感じさせていた。
「俊夫・・。」
喜美子は剥き出しのままの身体を、彼の胸に預けた。
そして、
「又欲しくなってきちゃった・・・。」
「母さん・・。」
二人は交互にそう言い終えると、黙ってその身体を蒲団の上に横たえた。
<影法師>
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