関原と知り合って1年ほど経ったある日、初江は、とうとう夫と離婚した。
家を出る日、夫は何も言わず、ただ背を向けたまま台所に立っていた。初江の胸には、何の痛みも、後悔もなかった。
心も身体も、もう何もかも、関原に預けたのだ。
関原は相変わらず冷ややかだった。優しい言葉も、甘い微笑みもない。だがそれが良かった。他に女を作る気配もなく、ただ初江だけを、己の欲望の道具として弄び、貪っていた。
それが初江の望みであり、救いだった。誰にも必要とされず、誰にも認められなかった自分を、関原は確かに欲しがり、支配し、痛めつけ、悦ばせてくれる。
ある晩。初江は玄関に裸のまま正座し、関原の帰りを待っていた。夜風が窓の隙間から吹き込み、肌に冷たかったが、その寒さすら甘美だった。
カチャリと鍵の開く音。そして関原の無言の姿を見た瞬間、蜜壺がきゅうんと疼いた。
「来い」
一言。初江は這うように関原の足元に寄り、足の甲に額をつけた。
そのままリビングへ連れて行かれ、関原の手で麻縄を取り出されると、いつものように亀甲に縛り上げられる。
縄が肉に食い込み、乳房を持ち上げ、尻肉を割り、蜜壺と菊門が丸見えになり、そこへ鞭が打ち下ろされる。
パシン、と音を立てて肌に走る痛みと熱。
「あっ……! ん、関原さん……!」
何度も打たれるうち、肌に赤い後を残しながら、蜜壺はとろとろに濡れ、汗と蜜が縄を湿らせてゆく。
初江は確信していた。この痛みも、屈辱も、悦びも、すべては関原の愛の証なのだと。
「私は関原さんに、愛されてる」
縄を解かれ、ベッドへ押し倒され、関原の逞しい肉棒を下腹の奥に迎え入れたとき、その確信は絶対となった。
ズンと突き上げられるたび、甘い痺れと疼きが駆け巡る。ただの快楽ではない。全身が満たされ、愛され、必要とされる幸福に満ちた深い感覚。
関原の手が自分の髪を掴み、熱い吐息とともに名を呼ばれる。
「初江」
その瞬間、涙が溢れた。自分はようやく、生きるべき場所を得たのだと。初めて女として、生きていいと許されたのだと。
そして、初江は関原の腕の中で、果てた。
(了)
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