三
薄暗い路地裏。昼間だというのに、建物の隙間を縫うようなその場所には、人通りもなく、時折遠くの車の音が響くだけだった。
関原のズボンのファスナーが下ろされ、そこから昂ぶった肉棒が顔を覗かせる。長く、太く、艶やかなそれを見上げた瞬間、初江の喉がごくりと鳴った。
「ほら、奥さん……好きなんでしょ?」
その声は甘く、少し嗜虐的で、まるで初江を玩具にでもするようだった。
だが、初江の体は抗えない。恐怖と興奮がないまぜになった震えを覚えながら、膝をつき、関原の腰に手を添え、顔を近づけ、恐る恐る舌先を這わせる。
塩気と、男の匂いが鼻腔を突いた。
「ん……」
舌を這わせた瞬間、関原が初江の髪をそっと撫でた。その指先が、やけに優しく、同時にどこか見下ろすような冷たさも孕んでいる。
「奥さん、いつも……あの窓辺で、オナニーしてましたよね」
その囁きに、初江の全身が凍りついた。
──見られていた……あの夜だけじゃない。
関原の声には、確信めいた響きがあった。初江の胸が、羞恥と興奮で焼けるように熱くなる。
「……う、そ……」
呟くと同時に、口元が笑んだ。どうしようもなく、背徳の悦びが込み上げてくる。この若い男に、全部見られていた。自分が窓辺で濡れ、己の指で慰めていた姿を。
「知ってたんですよ。奥さん、カーテンの隙間からこっち覗きながら、指動かしてたでしょ? 何度も……何度も」
耳元で囁かれ、初江の理性は霧散した。
自分がどんなに醜く、いやらしい女なのか、この若い男に知られていた。なのに、なぜか恥ずかしさよりも、欲望の方が遥かに勝ってしまう。
「お願い……」
喉を鳴らしながら、肉棒を口に咥えた。
熱く、固い。
舌を這わせ、喉奥まで飲み込むと、関原はくっと呻いた。
「奥さん、上手いな……そのまま」
髪を掴まれ、ゆっくりと腰を動かされる。
頭の中が痺れる。いつ誰に見つかってもおかしくない路地裏で、四六歳の主婦が若い男の肉棒を口に含んでいるという現実が、初江の体の奥をさらに熱くした。
唇を離すと、唾液で濡れた肉棒が艶めかしく光る。初江は喘ぐように息を吐きながら、懇願した。
「お願い……私の中に……入れて……」
その声は甘えと渇望とが入り混じり、すでに女としての理性を失っていた。関原は妖しい笑みを浮かべ、初江を背中から壁に押し付けた。
「そんなに欲しかったんだ? 奥さん」
唇を這わせながら、スカートを捲り上げ、下着を引き下ろされる。露わになった股間は、すでに蜜が溢れていた。
「ここも、すごい……濡れてる」
関原が肉棒の先端を蜜壺に押し当てる。その瞬間、初江は体を震わせ、喘ぎ声を上げた。
「ひぁっ……」
ぐぷり、と粘膜が割れる音と共に、関原の肉棒が初江の中に押し込まれていく。痛みなど微塵もない。ただただ、渇いた膣内が熱と蜜で蕩け、若い男の肉棒を咥え込んでいく悦びだけがあった。
「奥さん、締まり、すげえ……」
関原が低く唸り、腰を打ちつける。狭い路地裏に、ふたりの肉のぶつかる湿った音が響く。
「あぁ……いい……すごい……奥さん……」
初江は、もはや通行人の気配などどうでもよかった。ただ、奥の奥まで打ち込まれる快楽に身を委ね、腰を揺らし、蜜壺を絞り上げた。
「……お願い、ください、中に……いっぱい、私にください……」
甘えた声で懇願すると、関原はさらに腰を速め、最後の瞬間を迎えた。
「いく……っ!」
熱い精が膣内に迸る。初江は絶頂の波に呑まれ、口を押さえて嗚咽のような声を漏らした。
──これが欲しかった。
ふたりはしばし、熱の余韻に浸る。蜜壺の奥から、蕩けた蜜と精がとろりと溢れ、太腿を伝った。
関原は初江の髪を撫で、耳元で囁く。
「これからも、よろしくね、奥さん」
初江は小さく頷き、潤んだ瞳で見上げた。
──これから永く続く歪んだ快楽と主従の関係が、ここに始まったのだった。
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