~彼の秘密と私の秘密④~
真っ暗な部屋に帰り着いたが、照明のスイッチも入れずベッドに倒れ込んだ。ふと左手の指を嗅いでみるが微かに精液の匂いがするような、または記憶がそうさせているだけなのかよくわからないが、帰りの電車に乗った頃から何故あんな大胆な事をしてしまったのか、尾行も覗きも精液泥棒も会社での自慰行為も全てが今までの自分では考えられないような行動で思い出せば思い出すほど自己嫌悪に陥ったし、どの行動一つ取っても誰かに見られていたらと考えると恐くなるのだった。一方で体にはまだ先程の強烈な快楽の余韻があり、このままぐったりその余韻に浸っていたくもなったが明日も仕事があるので、疲れ切った体を引き起こしてシャワーを浴びて眠りについた。ところが翌朝目覚めた瞬間にまた新たな計画を思いついていた。昨夜の罪悪感はかなり薄れてしまったようだ。その計画の準備をしてから出社した。そして福祉棟から開発棟に移動する時にいいタイミングで赤城君に会った。
私:おはよう。昨日も遅かったね。今日も残業?
赤城:今日も終電コースですよ。体キツけど明日は花金、頑張ります。
今日の残業確認ができたのと昨夜の尾行等がばれてなかったようなのでホッとした。いつものように仕事を開始したが、残業時間の計画実行の事ばかり頭をよぎって、いつもより仕事への集中力が落ちていた気がする。長く感じた1日も終わりが近づきようやくその時が訪れた。昨夜と同じぐらいの時刻で赤城君は席を立ってエレベーターホールに向かって歩き出した。私はひとまず、もうすぐ片がつく作業をやり終える事にした。しかしその間、赤城君の昨日の残像にトレースしながら一挙手一投足を想像していたので、あまり業務に集中できていなかったような気がする。そして赤城君がコトをやり終えたと想像した所で集中力を取り戻し、最後の業務のチェックをしっかり行ってやるべき業務を終わらせた。そしてゆっくり目に帰り支度を整えてエレベーターホールに向かう。2基のエレベータの駐機フロアを確認すると、どちらも8階にはなかった。辺りを確認してから階上釦を押し、念の為のアリバイ用に階下釦も押しておいた。無人のエレベータに乗り8階に着く。昨日と同様に慎重に行動してようやくお目当ての場所にたどり着く。赤城君にもばったり出くわすような事はなかった。昨日と似た場所に白い精液溜まりを見つけた。朝に用意した直径3cmの平たい蓋付きの容器を取り出す。百均で化粧品を取り分ける為に購入していた容器の一つだ。蓋を開けて容器で精液を掬った。思った程に入らなかったので、もう一度指も添えて掬うとある程度の量を採取できた。指を立てながらしっかりと蓋をして半透明のビニール袋に入れて鞄にしまう。指についた精液を少し擦って嗅ぐと、間違いなく赤城君の精液だと嬉しくなる。そして今日はもうそのまま8階から地上まで降りて、着替えに向かった。
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