今日は特に深刻そうで なんとも言葉を掛けづらい 疲れた表情を浮かべている
それなのに かれはまた あたしに少し視線を投げて 無邪気な冗談を口にする
あたしは心配だった…
だけど それをうまく言葉に出来ずに 戸惑いながら こぼしてしまった言の葉は あたし自身を 戻れない場所へと連れ去った
「あたしで なんで… 癒されるの?」
かれは笑った
ちょっと 驚いたような顔を ほんの一瞬だけしたけれど 嬉しそうな声色で さっきまでのため息が嘘のように あたしを柔らかく見つめて言った
「ひとの笑顔って なんか… 癒されません?」
あぁ… そういうことか…
なぜか あたしは少し 悲しくなった
なぜか… じゃない
理由はわかってる
[あたしは… 特別じゃない…]
ヤバいと思い とっさに浮かべてしまった その表情を隠そうとして かれから視線をそらした時
「おれ… 北野ねえの笑顔 好きなんですよ」
完全に油断した…
その言葉を フィルタリングする理性は働いていなかった
いい歳した既婚のおばさんが まるで…
「北野ねえ 可愛い…」
少女のように 真っ赤になってしまった あたしの顔を かれは 無邪気な男の子のような瞳で 見つめていた…
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