可能な限り平静を装ってリコは持ち場に戻った。
部長とマユミは既に何事も無かったかのように仕事に取り組んでいた。
二人の顔をまともに見ることが出来なかった。まさか、あの真面目を絵に描いたようなマユミと、仕事熱心で信頼の厚い部長が、あんな場所であんなにも淫らに愛し合う関係だったとは…。
一度だけ自席からチラッと見やったマユミの顔が、気のせいか今までより自信に満ち溢れ、肌ツヤが良く色気が増したように見えた。
………
「ああんっ…そこっ…だめっいいの」
一人暮らしのアラサー女子の住むマンションの一室から、明らかに情事にいそしむ嬌声が漏れている。
しかし、部屋の中では全裸で汗を全身に滲ませながら一人ベッドで脚を開きオナニーにふける女がいた。
部屋の主はリコ。
その秘部には割れ目を押し開くようにディルドが突き刺さっている。
「ああっいいっ…すごくいいっ…いきそっ」
両手で自らの蜜にまみれたディルドを掴み、自らの胎内を犯すように出し入れを繰り返すリコはいつに無く早く頂点に達しようとしている。
今日の午後は仕事にならなかった。
書類に目を通していても、報告書を作成しようとパソコンを開いても、リコの頭の中ではマユミが部長のものを口に咥え込み…頭を揺するように擦り立て、上目遣いで女の悦びを部長に伝えながら精飲する光景ばかりが浮かんで来た。
何とか急ぎのメールに返事だけを返して、終業と同時に退社し、シャワーを浴びて直ぐにベッドに上がったリコは、愛用しているディルドを使いオナニーを始めた。
自分の心と身体を支配したままのあの淫らな光景を忘れるため、よしやにまた抱かれる自分を妄想して激しく自分を慰めていくリコ。
「んぐっ、ああっじゅぽっ」
いつもは膣の奥まで何度もディルドを送り込みながら達するのだが、今夜は何故かいく瞬間にディルドを口に咥え込み、激しく口唇を犯される感覚でいくことを選んでしまった。
よしやに抱かれ激しく突かれて登り詰めたつもりが、あろうことか最後に思い浮かべたのは、あの部長の肉棒をマユミではなく自分が咥え込み喉の奥に部長の熱い欲望を受け止める妄想で激しく果ててしまった。
ああ…よしや…私…
自己嫌悪に包まれながら、あまりに激しいオルガズムに、リコはそのまま眠ってしまった。
……
元々リコは妄想癖が強い。
20代の頃はそれなりに彼氏的な存在は常にいたし、酔った勢いでの一夜だけの関係が無かったとは言わない。
ただ最近は仕事上の責任も増えて忙しくなった上に、年齢的に男を次から次に取り替えるわけにもいかなくなり、一人暮らしを始めて初めて男のいない時間を過ごしていた。男もセックスも好きなほうであることは自覚があるが、かと言って近寄って来る男が結婚をチラつかせたり身体目当てだったりするのが透けて見えると女のプライドが邪魔をする年齢になっていた。
そんな生活の中で、30を超えたリコの性欲はますます深く高くなっていくのは自然であろう。最近は女性が性欲を満たすための情報もネット上に氾濫している。いつの間にかリコは買い揃えた3本のディルドを床や壁にセットして、チャットや動画で淫らな妄想を膨らませながらオナニーするようになっていった。
それぞれのディルドには形状に特長があり、特にお気に入りの一本は、入ってくる時のカリの当たり具合と丁度リコの一番弱い部分を刺激してくる反り具合を膣で覚えてしまうほど愛用しており、先ほども最後に登り詰めた時に思わず口に咥え込んだのはその一本であった。
このお気に入りのディルドがリコをさらなる波乱に巻き込んでいくことになる…
つづく
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