修学旅行で沖縄に2泊3日で来ている。今日は俺が待ちに待った日だ。
俺には特殊な力がある。ここだけの秘密だが、第二次性徴期に俺は、ペニ
スの包皮が剥けていくのと反比例するように、化けの皮をかぶれるようにな
った。要するに、にわかには信じがたい話だが、初めて精通をした朝から、
他の物に変身できる力を手に入れたのだ。だが、その能力はひどく限定され
ている。物心がついたばかりの幼い頃から、通販のカタログや新聞の折り込
みチラシを漁っては女物の下着に魅了されていた俺に授けられた力とは、パ
ンティにのみ変身することができるというわけのわからないものだった。最
初はベッドの上で目覚めると身動きがとれず、金縛りかと思いきやそうでは
ない。自分が1枚のパンティになっていることだけが自覚できた。
見慣れた部屋に、置かれているはずもない女性用の下着。当時13歳だっ
た俺にはこれを悪夢だと思うしかなかったが、パンティになった俺は頬をつ
ねることもできないので、夢か現実かも曖昧なままだった。そうしてベッド
に横たわったまま時間だけが過ぎていく。そのうちだんだん不安な思いがま
してきて怖くなり、あせる気持ちで心の中で「元に戻してくれ!」と叫んだ
ら、あっけなく元のからだに戻ることができたのであった。パンツの中は夢
精の跡で濡れていた。
以来、これまでに目にしたことのあるパンティを強く頭の中で思い浮かべ
ると、たちまちパンティに変身することができるようになったのだ。神が与
えてくれた奇跡的な力である。俺は人知を超えてしまったのだとほくそ笑ん
だ。
しかしそれもつかの間、俺にはこの能力の活用のしかたが一向に見えてこ
ないのであった。いったい下着に変身できるから何だっていうんだ。ベッド
の上で何度もパンティになっては元に戻り、をくり返すだけで日々は過ぎて
行った。いま思えばシュールな毎日だった……。
それから数年、とうとうこの力を最大限に開放するときが来たのである。
この修学旅行の一週間前に俺は今度の計画を思いついたのだ。好きな女子の
下着になって穿いてもらう、これがこの力のベストな利用法ではないか、
と。初夏のプールの時期にどうしてこれに気づかなかったのかいまとなって
は悔やまれたが、この最後のチャンスを逃さなかったことだけでも幸運だっ
たと思う。夏休み中に修学旅行を済ませやがるウチの学校のケチな校風に
も、今回ばかりは感謝しなければなるまい。
計画の内訳は、単純なものだ。目当ての女子が女湯に入っている間に、彼
女の下着と自分が入れ替わるという作戦である。問題は、いかにして脱衣場
に潜入するか、ということだった。貸切の大浴場はクラス単位での25分お
きの入れ替え制になっている。だから変身するとしたら女子たちが服を脱い
でいっせいに浴場に押しかけてからの数分ほどの間しかないだろう。いつ誰
がからだを洗い終えて脱衣場に戻ってくるかもしれない。どうすれば詩織の
パンティになれるのか。無い知恵をふりしぼって俺が出した答えは、こう
だ。脱衣場にはたいてい忘れ物を入れるカゴのようものがある。女湯の入り
口の手前でもしパンティが落ちていれば、心優しい女子ならカゴに入れてお
いてくれるのではないか……無謀なのは百も承知だ。だがもはやこのちいさ
な可能性に賭ける以外、俺には手がなかった。
詩織はスレンダーで瞳がくりっとした美少女だ。春に同じクラスになって
からずっと、俺はひそかにこの子で何度もオナニーをしてきた。詩織のこと
を思うと胸が苦しく、性器まではちきれそうにパンパンにふくらんで、来年
に受験を控えている俺は、同じクラスにさえならなければこんなにも悶々と
せずともよかったはずなのにと、どうにもならない気持ちを抱えて、毎晩、
頭の中で彼女がよがり狂うまで犯しまくっていた。
そして、今日。同じクラスだからこそ、男女ともに同じ時間に浴場へと向
かう。男女の浴場の入り口は隣り合っている。それゆえ、ひと足先に風呂に
入った他のクラスの女子たちが出る直前に、俺が入り口の前をぶらついたと
しても不自然ではない。その次に入浴するのは俺たちのクラスなのだから。
あとは人目を気にしながら、パンティに変身して床に落ちればいいだけなの
だ。……計画はほとんど完璧だ。さあ、もう10分前だ。同室にいる汗まみ
れの同級生たちが早くも上半身裸になって騒いでいるのを尻目に、俺ひとり
は冷や汗を掻いている。成功するだろうか、いや成功してみせるさ。覚悟は
決まっている。
◎ ◎ ◎
なけなしの勇気は報われて、計画は予定していた通りに順調に進み、無事
に忘れ物カゴの中へと放り込まれた俺は、脱衣場にいた全ての女子が戸の向
こうに立ち込める湯煙の中に消えたのを見送ると、すぐさま元の姿に戻り、
詩織が脱いだ服を入れてあるロッカーの前に駆け寄った。貴重品は部屋の金
庫に各自管理するようになっており、このロッカーにわざわざ鍵をかけて入
る女子は誰もいない。一人が鍵をかけなければ、皆、鍵をかけない。普段の
集団生活の習性がこんなところにまで出てくる。自分だけが鍵をかけたりす
れば、誰かを疑うかのようなそぶりにも見えかねない。俺らの年代はそうい
うことには特に敏感なのだ。ましてや全員一律の制服を盗む者なんているは
ずはないし、風呂に入るのに手首に鍵を巻きつけて入るのも気持ちのいいも
のではない。しなくて済むのなら、そちらを取るというものだ。
詩織のロッカーを開けて、さっそく脱ぎたてのパンティを掴み取る。まだ
生温かいその白いパンティをひろげて、クロッチの部分に鼻を当てる。……
これが詩織の本当の匂いか。那覇の空港からちゅら海水族館へとあわただし
く巡った初日のこと、汗もたくさんしみ込んでいる。なまなましい匂いの中
に詩織のたしかな雌の匂いも嗅ぎわけることができる。これまでに何度とな
く想像していたものよりずっといやらしい匂いのような気がする。胸いっぱ
いに吸い込んだら、名残惜しいがそちらはロッカーに戻し、替えのきれいな
パンティを急いで脱衣場の隅にあるゴミ箱の奥に手をつっ込んで廃棄する。
こんなことに明け暮れているうちに女子たちが湯から上がってきては元も子
もない。それにお楽しみはこれからなのだ。詩織のロッカーに頭をつっこ
み、いま捨てたばかりのパンティを思い出す。脱ぎたての白いパンティには
シミのようなものがついている。詩織も濡れることがあるんだな。俺みたい
に、ひとりでしたりすることもあるのかな……。そんなことを思っているう
ちに、気がつけばロッカーの扉は閉まっていた。俺はパンティに変身したの
だ。暗闇の中で、制服と下着からただよってくる詩織の匂いにくらくらしな
がら、しばしの妄想に耽った。
それからの十数分は何日にも勝るものと思われた。実際、この計画を立て
た一週間前の夜のことが5分前のことのようにすら感じられたのだ。夢にま
で見たことが現実に起ろうとしている。それだけで俺には十分すぎるくらい
に刺激が強く、元の体だったら、この短いようでとてつもなく長い時間にわ
たる緊張をこらえながらまともに立っていられたかどうか。……やがて女子
たちの声が徐々に脱衣場に帰ってきた。そして、そのときが来る。
ふいにロッカーが開かれると、一糸まとわない詩織が湯上がりで赤く染ま
った顔を俺に近づけてくるのだった。白熱灯の強烈な光が射しこんだが、せ
いいっぱい詩織に向かって目を凝らす。詩織以外の女子の裸など目に入らな
い。いまは入れたくもない。詩織だけを熱く見つめた俺の胸は高鳴る。詩織
はよくしぼった手ぬぐいをロッカーに置き、さっそくタオルでからだを拭
う。きれいな肌だ。色白の詩織のふくらんだ二つのおっぱいがまぶしかっ
た。風呂から出たばかりの乳首はやわらかくなっており、この乳首をいつか
俺が立たせてやりたいと思うと興奮した。ひと通りからだを拭き終わると、
ついに俺の方に手を伸ばす。詩織はパンティから穿くようだ。俺からも見え
ない手を伸ばす。手を取った俺に微塵の違和感も持っていないような教室で
見るのと同じいつもの顔で俺をひろげ、かかとからくるぶしへ、ふくらはぎ
からふとももへスルスルとすべらせていく。詩織の脚を全身でさすり上がる
俺は、だんだん近づいてくる割れ目に熱い視線をぶつけた。うっすらと毛が
育った詩織のおまんこはぴったりと閉じており、洗い立ての石鹸のにおいが
するその亀裂に、パンティである俺は詩織のなすがままに近づいていき、詩
織の手の動きが止まると同時にキスをする。まるで俺からではなく、詩織か
ら求められたかのように。このおまんこは、これから丸一日かけてさきほど
の脱ぎたてのパンティのような匂いを醸し出すようになるのだろう。それま
で詩織のおまんこに全身をこすり続けて何度もイッてやるんだ。詩織が知ら
ぬ間に、俺の雄の匂いと詩織の雌の匂いがパンティの中で混ざり合う。……
いや待てよ。夜中に布団の中で元の姿に戻り、旅に疲れ切った皆が寝静まっ
ているところで、詩織を犯してしまってもいいじゃないか。何度も頭の中で
描いてきたように、詩織のおまんこを俺のちんぽでずぶずぶつきまくってや
るんだ。旅館の浴衣を剥いで、あのかわいらしい乳首も舌でころがして立た
せてやろう。詩織の目が覚めたらまたパンティに戻るだけだ。卑猥な夢を見
て下着をみずからずりおろしてしまったのだと思い込んで、自分に赤面する
だろうか。それもいい。何もかも最高だ。
そう思っているいまこの瞬間も詩織の肌を舐めまわしている。もう引き返
せない。ここまで来てしまったんだ。たっぷりと味わうとしよう、惚れた雌
のいやらしい肉体を。
(おわり)
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