「少し場所を変えようか」
「え?は、はい」
かほさんがそう言うと、杏咲さんがそれに返事をした。
その返事の後、ザバッと水の音がした。2人が湯船から出た音だろう。
今頃、あちらではお湯で濡れた白い裸身を互いに隠さず、大きい胸も股間も曝しながら歩いているのだろう。
歩く度に二人の胸は揺れているのだろうか。
あちらの二人にしか見えていない世界。男が決して見てはいけない景色。想像するだけで心臓がうるさくなった。
二人の向かう先は奥にある露天風呂だ。あちらは内側の浴槽よりも広い。
俺は浴槽から上がり、静かに男の露天風呂に行った。露天風呂に行くには引き戸を開ける必要があった。
俺は音をごまかすためにかほさんが引き戸に手をかけたタイミングを合わせた。
ガラララ
俺はなるべく静かに開けた。
「ん?」
「どうしました?」
「ううん、何でもない」
二人のそんな声が聞こえて一瞬ドキッとしたが、何とかごまかせたみたいだ。
「んー、この開放感!」
「外が気持ちいいですね」
二人の会話と同時に俺は露天風呂に入った。平らに近い形で削られた大きい岩に囲われた大浴場。昔は男友達とも他の客がいないときに泳いだものだ。
「それじゃあ続きを話すね」
かほさんが杏咲さんに話を始めた。
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