そしてその戦士の中にはかほさんの将来の夫となるとされる人物がいた。
そいつはかほさんとかなり親しい仲らしく、かほさんとしては戦いとは無縁の人生を歩んでほしかったそうだ。
しかし望む望まざるに関わらず運命は残酷だった。そいつはかほさんとほぼ同時期に仮面の戦士の力を得たと聞いた。
しかもそいつが変身する仮面の戦士の姿もまた運命的だった。青い網目と鳥の翼のような鱗模様のスーツに蜜柑の鎧を持つ和風の鎧武者。
それはイドゥンの変身者・始まりの女と番いされる始まりの男が変身する仮面の戦士の特徴だった。
名前は確か何と言ったか、とにかく始まりの男と始まりの女が変身する仮面の戦士が現代によみがえった。その話が出てくると宴会はかなり盛り上がったが、俺としては全然面白くなかった。ショックが大きすぎて、話があまり頭に入ってこなかったのだろう。
始まりの二人の仮面の戦士に加えて、多数の仮面の戦士の適合者たちの出現。儀式に必要な存在がほぼ揃ったと言える状況に誰もが気を緩めず、盤石と万全の体制を維持するべきだと思った。
さらに西嶋家が変身する始まりの女の戦士と始まりの男の戦士に宿る力が揃うとさらなる力が降臨するという伝説もあった。
当然、その伝説が紛れもない事実ならば魔蛇との戦いに今度こそ、終止符が打てるのでは?という期待も生まれた。
しかし・・・・・・そんな話を聞けば聞くほど俺の気は沈み、重くなった。
なぜ、そいつなんだろう? あともう少し、早く俺が生まれていたら俺が仮面の戦士になってかほさんと・・・・・
そんな考えがよぎった瞬間、ガラガラという隣の女湯から引き戸を開ける音がした。
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