次にかほさんの脳裏に自身の意思ではないイメージ、いや映像が勝手に現れた。その映像の手順にかほさんは従った。
ベルトの中央部には八角形の浅い穴があり、上部にはベルトを上から見て小文字のdに似た金属パーツがあった。
形からしてそこに錠前を装填するのだとかほさんは察した。
右手で持っていた錠前の左にあるボタンを親指で押すと、逆さのU字パーツが上に上がった。リンゴの錠前は丸みを帯びていた事もあって数字の6のようになる。
ボタンを押した瞬間、錠前から『リンゴ!』という音声が鳴った。
かほさんは錠前をベルトの中央にセットした。せり上がった逆さU字をd字状のパーツにかけるために掌でセットされた錠前に沈めた。
その瞬間、『ロックオン!』という音声が鳴った。それと同時にかほさんは右手側に平たい小刀をリンゴの錠前を斬るように下に降ろした。
『カモン!』
かほさんの全身は一部に赤いパーツがあるピッチリした銀色のスーツに包まれ、頭上には光のエネルギーが集まり、巨大な鋼のリンゴが出現した。鋼のリンゴは下に降りるとかほさんの頭部をすっぽり覆った。
『デザイア・フォビドゥン・フルーツ!』
その音声と共にかほさんの変身は完了した。赤と銀の仮面の女戦士イドゥン。名前は北欧神話の黄金の林檎の管理人が由来だ。
左手には2匹のウサギ状のリンゴを模した盾があり、柄をリンゴの蔕に見立て、芯と果肉を西洋の剣にしたアイテムがあった。
剣と盾の攻防一体の攻撃を得意とした女神のごとき戦士。それは西嶋家に伝わっていた始まりの女が変身する仮面の戦士そのものだった。
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