俺とかほさんはふと気づいた。周囲を見渡した。
そこは俺とかほさんが知っている場所だった。
現実の世界だ。
10年ぶりの景色だ。
しかし、こちらではそれほどの時間は流れていない。
俺とかほさんは邪神と戦う仲間が待つ場所に向かって走った。
仲間には心の底から謝ろう。
後でわかった事だが、あの田舎の村は俺とかほさんの他、いろんな人たちが生み出した心象風景が実体を持ち、具現化した世界であることを聞いた。
ありもしない田舎の村の思い出。
顔と名前が異なる、自分であって自分じゃない誰か。
でも、悪くなかった。
いつか、あの世界にかほさんともう一度行きたい。
俺は秘かにかほさんにそんな話をした。
それに対し、かほさんは。
「私も」
笑みを浮かべてそう言ってくれた。
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