「裕くん!いや、裕也くん!」
ミカさん。いや、かほさんはリンゴの錠前を取り出していた。顔は違うが俺とかほさんは本当の自分を思い出していた。
俺もまた錠前を取り出した。俺とかほさんは元の世界の事を思い出した事でかつて得た力を取り戻したのだ。
腰にバックルを出現させる。
「「変身!」」
「オレンジ!」
「リンゴォ!」
錠前をバックルに装填する。俺とかほさんは頭上に出現した鋼の果実に身を包んだ。
俺はオレンジ色の鎧武者、かほさんは剣と盾の赤い鎧武者へと姿を変えた。
俺と黒い鎧武者は日本刀と自動拳銃が合わさったような刀と輪切りにしたオレンジの断面を模した片刃の大剣を持っていた。
ちなみに黒い鎧武者の大剣のほうは黒い。
俺と黒い鎧武者は刃を交えた。身体が戦い方を思い出していたおかげで俺は互角に戦えた。
というか当然だ。向こうは魔蛇の毒で生み出され、俺から分離した文字通りの分身だ。
この世界の時間で10年前、ミカさんと愛し合っていたのは思い出せるつもりもあったのか、それとも子供の時の俺のようにミカさんと・・・
俺と黒い鎧武者は互いの刀で互いの鎧に傷をつけた。
「元の世界に戻りたいか?」
黒い鎧武者がそう言ってきた。
「ああ、戻りたい!」
俺は迷わず言った。
「なら、やってみろ!」
黒い鎧武者はそう言い返してきた。
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