この仮面の戦士には専用の変身ベルト・戦極ドライバーが必要だ。この戦極ドライバーは俺と兄貴の祖父、紺野家の初代の時代から存在しているベルトで、その時代からすれば明らかにオーバーテクノロジーでできていた。
世界中にオヌマが出現した事に伴い、祖父は必要最低限の戦極ドライバーの量産化を決めた。
ドライバーの原料は希少金属レアメタルで政府からは莫大な資金援助もされた。
そしてもうひとつの重要なアイテムである果実の錠前ロックシードは狗道家と紺野家のみが作る事を許されていた。
その秘密はセイヴァーを継承しない事から狗道家の次男坊でも聞かされていない。いや次男坊だからか。
ただひとつ言えることはロックシード、及び仮面の戦士の悪用を防ぐ仕掛けが施されているということだけだ。
兄貴と友人達から聞いた話だが、良からぬことを考えるとロックシードが爆発するらしい。これは冗談ではなくマジだ。
しかもこの自爆システムは政府公認。この日本において法的な殺人すらも許されているのだ。
なぜセイヴァーである兄貴だけでなく、友人達からこの話を聞いたかというと友人達も仮面の戦士だったからだ。
と言っても変身するのは量産型の黒影という下級戦士でまだ見習いだ。なぜ変身するかと言えば仮面の戦士はただ戦うだけではなく、国から多額の報酬が支払われるのだ。同時に友人達の親も量産型の黒影だったりする。
そしてそれを率いていたのは俺の親父と祖父だった。親父は現在、戦極ドライバーではないベルトでもう一人のセイヴァーに変身している。こちらは赤いアーチェリー型の弓を武器としている。
そして兄貴のほうは高校3年を迎えると祖父からセイヴァーを継承し、祖父の時と変わらない姿をしている。
兄貴が変身するセイヴァーは上半身に赤く塗ったウサギ型の飾り切りしたリンゴが銀色の胸の鎧に逆さの八の字を描くように2体、右肩に1体、左肩には黒い蔦が数本這ったブラッドオレンジを日本の鎧武者の大袖にしたような鎧があった。
全体的に見れば赤いボロ布と赤い装甲が特徴の銀色の騎士と言った印象だ。さらに錠前は二つ使っていて左にある装置は親父が変身するセイヴァーのベルト中央にある装置と同じだった。この装置は創世の力ゲネシスコアと祖父が言っていた。
このゲネシスコアによってはセイヴァーは一度に二つのロックシードを使えた。
若くしてオヌマと戦う兄貴の姿に街のみんなと高校のみんなは大はしゃぎだった。かつての祖父にようだという者さえいた。
3年の先輩達も正規の戦闘要員として黒影トルーパーという部隊に所属していた。兄貴と親父を筆頭にこの部隊は何度も街とその周辺の県を守ってきた。そんな兄貴の姿に女子達が惚れないはずはない。
しかし、例外もいた。俺が通っている高校の美人先輩の1人にして紺野家の長女、紺野紫織。
初めてできた彼女は兄貴に何度か獲られた事があったが、彼女達とはあくまでもお試しとしてだ。そんな俺の心を熱くドキドキさせたのは紫織さんが初めてだった。今ならはっきり言える。紫織さんこそ俺の初恋の相手だ。
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