「一郎くん、ザクロロックシードを右手に持って、私も右手に持つから」
そういうと夜戸さんは自身の右手にヘルヘイムロックシードを持った。
それに合わせて俺は右手にザクロロックシードを持った。改めてロックシードの表面キャストパッドを見つめる。この表面はロックシードが持つ力は地球の果実を模す形で固定化したフロントパネルだ。ザクロと言うより、黒線がないスイカ、黒線にあたる部位には赤い粒々があり、無理やりザクロに見せているといった感じだ。中央部にはナンバリングがあり、俺が持つザクロロックシードには数字ではなくL.S.- MESSIAHと黒い字で記載されている。スライドシャックルとアンロックリリーサーは黒で解錠ボタンである後者は右上にある。
夜戸さんが持つヘルヘイムロックシードもまた特殊だった。俺のザクロを含めて通常のロックシードの本体(エネルギーのシードコアを格納している)であるシーリングボディは銀色なのが一般的だが、彼女のものは紫色だった。そしてキャストパッドはヘルヘイムの果実そのもの。
それだけではない。ナンバリングは黒字でL.S.- HELLと記載されているが、その文字が逆さなのだ。おかげで彼女の右手にあるヘルヘイムロックシードはこちらから見てナンバリングの文字が逆さにならない。
「私の左手があなたのザクロロックシードを起動させるから、一郎くんは左手でヘルヘイムロックシードを起動させて。解錠ボタンはあなたから一番下よ」
「は、はい」
釘状のアンロックリリーサーは3つの内、2つがダミーなのか。俺から見て一番下・・・彼女から見て一番上か。
俺は左手の指で本物の解錠ボタンを探り当てた。間違いない、ここだ。
夜戸さんのほうも左手の指でザクロの解錠ボタンを探り当てた。
俺と夜戸さんの両手が互いかざす形になる。
「次はこの銭湯と狗道神社とそこにある屋敷を強くイメージして」
「はい」
「イメージしたら解錠ボタンを同時に押すのよ」
そう言われて俺は夜戸さんに言われた場所を強くイメージした。俺の銭湯、思い出の狗道神社、そして3年前の出来事を見た屋敷・・・
「行くよ」
「はい」
『『ザクロォ!ヘルズ!』』
かっこいい合成音と不気味な合成音が同時に鳴る。
ザクロは赤、ヘルヘイムは紫に発光した。
次の瞬間、俺と夜戸さんの周囲は白い煙のようなものに覆われた。そして・・・
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