「と、とりあえず業務時間終了のお札と鍵かけてくれない?」
顔を赤くしながら夜戸さんはそう命じた。
「え?あ、はい」
俺は少しもたつきながら業務終了の札をかかげ、引き戸に鍵をかけた。
「かけたわね。次にザクロの錠前、持っている?」
ザクロの錠前。それは俺が親父から受け継いだ鮮血の救世主のロックシードだった。ちなみにその親父は創世のベルト・ゲネシスドライバーとドラゴンフルーツエナジーロックシードで鎧とベルトが変わっただけのセイヴァーに変身している。
「ええ、持ってますけど」
そういって俺は常にお守り代わりに持っているザクロロックシードをポケットから取り出した。
初めて渡された時は2年前の14歳の頃。ゲネシスコアがセットされた戦極ドライバーとブラッドオレンジの錠前も渡され、俺は訓練も兼ねて初めて変身した。親父の指導はマジできつかった。あの時は赤い創世の弓ソニックアロー1本で二刀流の俺を圧倒した。といってもその頃の俺は本物の武器を握ったことがない素人のガキでしかなかった。それから1年後、15歳になった俺は戦闘員オヌマと戦い、なんとか初陣を飾った。
初めて俺が変身した時の姿は祖父、親父がベルトを使っていた時と何ら変わらなかった。しかし、俺はまだセイヴァーの真価を発揮していなかったのだ。
「私も自分が持っている錠前を見せるわ」
そう言って夜戸さんは赤と紫の錠前を見せた。その錠前は初めて見る異質なものだった。解錠するボタンは右側に3つあり、形は釘状で縦に並んでいる。
錠前のボタンの名前はアンロックリリーサーと呼ばれ、夜戸さんが持っている錠前は黄緑色だった。
ロックシードは一般的に南京錠の形状をしており、U字を逆さにしたような掛け金が特徴だ。ロックシードはその部分をスライドシャックルと呼ぶ。
夜戸さんの錠前はその部分も黄緑だった。
「これは私達、夜戸家に伝わる異界の果実そのものを模したヘルヘイムロックシードよ」
異界の果実。それについては狗道家である俺も知っていた。ロックシードを作り、ロックシードに変える禁断の果実だ。
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