夜戸さんは入浴券を俺に見せて、俺は番台として入浴の許可を彼女に与えた。その瞬間・・・
「はい、お客としての役目はここまで。ここからは私と一郎くんの二人だけの話にしたいの」
「え?」
突然の夜戸さんの言葉に俺は戸惑った。
「えーと、世界に関わるお話ですか?」
「もちろん。でもその前に私と一郎くん、狗道家と夜戸家に関わる話でもあるの」
夜戸さんはそれまで明るい笑顔から雰囲気が変わった。初めて見る暗そうな顔だった。暗そうな顔・・・そう思うとあの3年前の光景が脳裏によぎる。
そんな俺をよそに彼女は話を続ける。
「その話はお互い、湯船に浸かりながら話さない?」
その言葉、その提案に俺は一瞬、耳を疑った。
「へっ!?」
俺は情けない声を上げてしまった。
「私としてはすべてを隠さず、話し合いたいの。心も身体も」
暗そうな顔から今度は恥ずかしそうに顔を赤くしながら、自身の提案を強く示す。
学校一の美人と一緒にお風呂。それも裸で。俺は心に妙なものを感じながら彼女を見つめた。
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