暗い和室にはオレンジ色の豆電球が強く室内を照らしていた。それがどこか妙な雰囲気を醸し出す演出のひとつになっていた。
畳の上に敷かれていた布団の上には全裸の親父が仰向けに横たわっていた。筋肉質のたくましい身体を持つ親父の上には女が跨っていた。
女も裸だった。腰ぎりぎりまである長い黒髪が時折、振り乱れる。白く長い両足はM字を描くように親父の股の上に覆い被さっていた。
親父の股間と結合する白く丸いお尻、長い黒髪にところどころ覆われ、大部分が露出しているヴィーナスラインともいうべき白い肌の背中。白く長い両手は親父の上半身の左右の布団の上に置かれていた。そして丸いふたつの大きな胸の物体とその先にある蕾・・・
それは母さん以外で初めて見る女の裸だった。顔は髪に覆われていて見えなかった。だが、この髪型の女はこの屋敷にただ一人しかいない。
夜戸ハルさんだ。俺に優しく微笑み、祖父と祖母代わりのハルさんの事で泣いてくれたあの人・・・・?
しかも親父と? いったいなぜ? 俺と母さんがいるのに。
その瞬間は言葉にできなかった。時間が止まり、すべてが凍り付いた。例えるならばこれ以外にない。
そんな俺をよそに情事は再開された。夜戸さんは身体を上下に動かした。それに伴い、親父は夜戸さんの白い尻を揉むように掴んだ。
白い尻が親父の骨張った手の形になる。当然、胸の白い二つの球体はブルンブルンと揺れ始める。
「あん・・・んっ・・・あっん・・・」
再び喘ぎ声が和室に響く。その光景に俺は後ずさった。それによってギィという廊下が軋む音を出してしまう。
俺は一度足元に目を向けたが、すぐに視線を夜戸さんに戻した。次の瞬間、髪に覆われた夜戸さんの目が見えた・・・気がした。
そしてその目と俺は目を合わせてしまった。その目は昼間、俺やみんなに見せてくれた夜戸さんの優しい目ではなかった。
恐怖に支配された俺は声を上げないように布団がある部屋に一目散に走った。布団に入った俺はしばらく震えていた。
翌日、俺は夜戸さんと親父には何も聞かず、母さんと一緒に自宅に戻った。親父は後から来ると言っていたが、一体夜戸さんと何の話をしているのだろうか。俺は狗道神社に行くことを避けた。それでも近くにある祖父と親父の銭湯の手伝いだけはやめなかった。
それから3年の月日が流れた。
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