仮面の戦士になってオヌマ退治をする親を持つ子として俺は常に不安でハラハラしていた。それはあの夜戸ハルさんだって同じ立場だった。
彼女の育て親もまたオヌマと戦う仮面の戦士だった。そして俺も夜戸ハルさんも単なる仮面の戦士の肉親というわけではなかった。
祖父、親父から鮮血の救世主セイヴァーの継ぐ者として厳しく育てられた。弓道だの、剣術だの、あれこれやらされた時はマジできつかった。
しかし、不思議と覚えがよく、習得が早かった。まるで生まれたときから武器の扱い方を知っているように。時々、自分が怖くなった。
俺もあんな化け物達と戦い、人が守れるだろうか? そんな気持ちに常に俺は支配されていた。もちろん、そんな俺の気持ちも祖父ちゃんと親父、祖母ちゃん代わりのハルさん、母さんは察してくれた。鍛錬や稽古ばかりではなく、戦いとは無縁のことも俺に教えてくれた。
そして、セイヴァーを受け継いだ時、戦うのは俺一人ではない事も教えてくれた。それに対して不安もあったが、どこか不安を消してくれる希望の光にもなっていた。俺と一緒に戦ってくれる人。あの夜戸ハルさんだといいな。そんな事を考えながら俺は屋敷の廊下を歩いていた。
その日の深夜は俺は便所で用を済ませた後だった。そんな時・・・
「んっ・・・あん・・・・」
女の声が聞こえた。それもどこか悩ましげな。はっきり言うとエロい声だ。
その声は襖の奥から聞こえた。
「・・・んんっ・・・あっ・・・」
その声はどこか聞き覚えがある声だった。どこで聞いた声だ。俺は必死に記憶を辿った。そうだ、この声は今日初めて聞いた・・・
襖に右手をかけた。開けてはならない。本能的にそう思った。心臓の鼓動も早くなってきた。この先は見ちゃいけない・・・
スッ
そう思いつつも俺は開けることを選んだ。ギリシャ神話のパンドラの箱って話があるのをどっかで聞いた。
今、まさに俺は女の甘い声がする襖と言う箱を開けた。
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