私の母・夜戸サキと父・狗道太一は幼いころから愛し合っていた。母は父よりも1歳上で父は姉のように慕っていた。ある意味では間違っていない。母と父は同居し、生活のすべてを共にした。実は太一の母・狗道彩音は彼が幼い頃に病気で亡くなっていた。もともと病弱な人だったと聞いていた。病は狗道家と夜戸家に人脈を持つ医師ら、製薬会社によって何とか抑えられていたが、どうにもならなかった。
この一件は祖母の薬の研究の没頭に起因していた。その執念も現在では実を結ぼうとしているから決して無駄ではないし、私も有無を言わさない気でいる。話を戻すが、太一は当主と言うこともあって祖母が彼の母代わりとなった。だが同時にこれは祖父母にとって過酷な選択だった。
サキと太一が思春期をむかえると互いに性に目覚めた。中学生の時には互いの初めてを捧げ合い、裸で絡み合ったらしい。
そしてサキと太一が戦う日は訪れた。サキは祖母から譲り受けたシルフィー、太一は祖父から譲り受けたセイヴァーでオヌマと戦った。
それはサキが17歳(厳密には16歳)、太一が16歳(厳密には15歳)の高校生になった時だった。
浄化の儀式。太一はずっと母として慕っていた祖母を女として見るよう迫られた。太一と祖母は、いや夜戸家と狗道家はどれほど複雑な気持ちだったか。心穏やかでいられるはずがない。当然、今の私には16歳間近の父に跨る祖母が上下するというおぞましい記憶がある・・・
しばらくして太一は自身とサキが血縁上ではわからない腹違いの姉弟である事を知った。もちろん、これには太一も嫌悪を示した。
太一は狗道家と夜戸家から一旦離れたが、サキと祖父が浄化の儀式を行う事も嫌い、進んで自らサキと儀式を行う事を決めた。
その決意が定まるまで太一は何度も悩んだ。しかし、それを支えた女性がいた。狗道家の親戚で太一の従妹にあたる狗道紘子という女性だ。
次の当主のために紘子は太一の表向きの妻になる道を選んだ。それはすなわち、私の弟を生むということだった。
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