黒影トルーパーに変身するという職業も一般的になり、国からもかなりの報酬が貰えるため、家族を養う理由や自分を変えるという理由で真剣に取り組んでいる人がほとんどだ。決して税金泥棒と言われる筋合いのない誇れる職業になっているのも確かだ。
そんな部隊を生み出した私たちははじまりの二人としてもてはやされた事もあるが、私達は私達で別に利益を得ていた。
私達、夜戸家は狗道家の助けもあって製薬業と営んでいる。これも私の祖母がはじめた事で超常の力で生み出した異界の果実を人体に影響のない食物にしたことから製薬業は始まった。あらゆる製薬会社と協力して疲労回復、睡眠不足をなくして健康な体にすることを目指すなど多岐に渡り、あらゆる病に対して病弱な人も完治とは行かないが、ある程度、健康に近い肉体にする研究も行われている。おかげで私と母・夜戸サキは生活に困らない収入を常に得ている。本当に何から何までやった祖母には頭が上がらない。
そして狗道家は事実上、この街の支配者の立場にあり、多方面の企業にきく顔と国からの支援もあり、何不自由なかった。
しかし、支配者には支配者の責務があるという狗道一朗太の信条の下、オヌマに怯える街のみんなの心を癒す名目で銭湯を開業した。
もともと狗道家の神社付近には温泉が湧いていた。おかげで神社の近くに銭湯として有名だった。外観は懐かしさを感じる寂れた銭湯だ。
それがまた人々の心を癒すのだ。
そして、いきなり話は変わるが、私と母に父はいない。いや、厳密にはいないとされている。私と母は祖母の超常の能力で生み出された複製体になる。しかし、母も祖母も誰かを愛する事をやめなかった。何より夜戸家は狗道家と相性の良い血を絶やさない決まりもあった。
つまり、私の父は狗道家現当主・狗道太一、母の父は狗道家前当主・狗道一郎太になる。私の祖父は狗道一郎太になるのだ。
当然、完全なる近親相姦になるが、DNA鑑定を持ってしても私達の親子関係は暴けず、あくま親戚関係でしか暴けないようになっている。
これは間違いなく祖母の計らいだ。自身の肉体を改造してでも多少の世間体から私達を守るために。
そして同時にこれは狗道家の男を愛してもいいという証明でもあった。
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